金大中(キム・デジュン)大統領のノーベル平和賞の受賞発表以来、多くの市民はお祝いの言葉と共に`これからは危機に瀕している経済再建のために最善を尽くしてほしい'との注文を忘れなかった。国民の実感する経済がどれほど停滞しているかをよく物語っている。
最近の韓国経済は消費意欲が衰え、企業の売り上げが急激に減少した上、株価は一時、500台すら割るなど、投資者が極度に不安に陥る状況だ。大手の建設会社の倒産が懸念されているなか、海外への売却に失敗したデウ自動車とハンボ鉄鋼の問題は、時々刻々韓国経済の首を絞めつつあるため、経済界の一角からは第2の外替危機が予告される状況でもある。
もちろん、今の経済の低迷には原油価格の高騰や世界証券市場の暴落など、外部からの影響も多かった。しかし韓国の経済がこのくらいの対外要因によって大きな打撃を被ったことは、韓国経済の基盤が貧弱だからに違いない。これは1997年末の外替危機以降進められてきた各分野のリストラ作業が成果を上げていないためだろう。
企業と金融界のリストラ作業が総選挙を前に一時ストップしたため、経済の基盤を固められる好機を逸したこと、また、政府が危機克服への功績を強調したあまり、社会の各分野が節約することを止め、もっと大きな目にみえる成果を要求し始めたことも経済不安の原因である。
経済が低迷し、金大統領は6月と10月初め頃「経済は自分で監督する」と発表したものの、市場の反応は過去とは異った。南北関係の進展やノーベル賞の受賞をけなすような問い方には決して賛同できないが、今まで国事の中心が経済などの国内問題より南北関係の方に片寄ってきたことも否認し難い事実だろう。ノーベル賞を受賞したのだから、金大統領は今こそ、すっきりした気持ちで経済再建に全力投球できる条件を整えた。
104兆ウォンの公的資金が投入された金融界と企業のリストラ作業を速やかに進め、市場の不安要因を無くすことは優先的に行なうべきだ。企業、金融、公共、労働部門などの4分野の改革を成し遂げる事は、金大統領が執権の後半期に解決すべき至難の課題だといえる。
必然的に社会的苦痛を伴うこれらの改革作業に金大統領が率先して取り組めば、国民的なコンセンサスを得ることに大きな効果があるだろう。
金大統領は残りの任期を、企業と金融の基盤を固め、これを土台にした経済の再跳躍を図ることによって、国内政治にも成功した大統領になってほしい。






