金大中大統領は6月16日の第16回国会開会式の演説で、「野党と政策を通した競争、対話と妥協を通した政治原則を必ず守らなければならない」と声明した。いわば相生(お互いに生かし合う)の政治を約束した4月24日の与野党首会談で合意した精神をもう一度強調したものである。また民主党総務はハンナラ党総務に「与野党の合意のもとに最善を尽くして対話と妥協で処理し、万が一それができない場合にも一方的に強行したり、騒ぎの間隙をぬって処理したりは絶対にしない」と打診していた。
しかし、この言葉は2ヶ月もならないうちにすべてが虚妄となった。民主党が24日、国会運営委員会で国会法改正案を一方的に通過させたことは、一つの法案の変則処理という現象的な次元に止まるものではない。今回の事態の本質は現政権が自ら信頼を捨てたことに他ならず、それは政治をまたもとのだましあい政治に転落させる、致命的な悪手であったということにある。
民生治安のために緊急処理は避けられない事案でもなかった。一体自民連を院内交渉団体にすることが全ての政治的約束を破ってまで犯さなければならないほど至急の問題だったのか。ハンナラ党が当初から反対し、仕方なかったという弁解は通じない。円滑な国会運営のために院内交渉団体定数を調整する必要があるとしても、野党を説得し合意を得なければならない。それが対話と妥協を通した政治原則だ。しかし、民主党はハンナラ党を説得する努力を助ェにしたかというと、そうは見えない。国会内の数的優位を確保するために自民連を引き込むのにあくせくとし、金鐘泌(キム・ジョンピル)−李会昌(イ・フェチャン)会談の隙をついて電撃的に強行突破したというのが一般的な観測だ。これと関連して疑惑の対象になっているハンナラ党−自民連間の裏合意説は明白に明かさなければならない。ハンナラ党側が自民連のために院内交渉団体定数を減らすという裏取引をしたのか、でなければ民主党側が自身の強行突破行為の非難を収めるために疑惑をひっくり返そうとしているのか、その真相は必ず明らかにし、どちらの側にしろ厳重に政治道義的責任を問わなければならない。うそと謀略の政治は新時代の新しい政治を渇望している国民に多大な敗北感と虚無感を与えるものだ。政治に対しての冷笑主義がまた恐ろしく広がってしまう。政権側はそれをどのように受けて立つのかについて真摯に取り組まなければならない。
執権勢力が虚妄の政治によって国民の信頼を失っている限り、やがて訪れる新しい南北関係の希望も薄れてしまう。国内政治が不信で揺れている限り、外交の成果も期待できない。民主党は今すぐにでも謝罪し、国会法改正案の無効を宣言しなければならない。そして、野党ともう一度交渉のテーブルにつき、だましあい政治に転落した政治の信頼回復に努めなければならない。虚妄の政治は国を滅ぼす。






