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秋の客、序詩

Posted November. 06, 2021 08:33,   

Updated November. 06, 2021 08:33

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土を掘って商売をする人もなく、他人に施すだけの人もいない。行くものあれば来るものがあるはず。しかし人生を見よ。行くものがあっても来るものがないことは珍しくない。私は確かにあげたのに、他人は覚えていないことがもっと多い。

与えたものと受け取ったもののバランスが崩れると、憎しみが宿る。私の心と時間、財物とお金を持っていって返さない人は憎い。憎しみはどれほど力が強いのか、人の顔色を黒くし、お腹を壊し、眠りを忘れさせる。時には自分が生きるために許したくなることもある。これを負けたと表現するのはやめよう。許しは憎しみに対処する最も賢く伝統的な態度だからだ。

許しというのは難しい。難しいから詩の力を借りるのもいい。ひらひらと落ち葉のような詩が舞い降り、私たちの心を冷ましてくれるだろう。この作品を書いたイ・サンボム時調詩人は80歳を超えており、彼が詩調を書いた歳月だけでも60年に近い。彼に憎しみはなかっただろうか。苦しみはなかっただろうか。老人の知恵のようなこの時調は、ためらう私たちの背中を押してくれる。放してやれ、開け放せ。早く忘れて心を洗い流しなさい。簡単なことは何一つないが、簡単ではないので努力しなければならない。そのうえ、今は秋ではないか。木も落ち葉と別れ、実も熟れ果てる秋は許すに本当に良い季節だ。

文学評論家