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60年ぶりに叶えた夢

Posted September. 23, 2021 09:15,   

Updated September. 23, 2021 09:15

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世界的なインスタレーション作家のクリストとジャンクロード夫婦の夢であり、最後の作品が実現し、話題を呼んでいる。パリの象徴であるエトワール凱旋門を銀色の布で全てを包み込むプロジェクトで、9月18日に完成した。すでに亡くなった夫婦芸術家の夢は、どのように実現できたのだろうか。なぜよりによって凱旋門だったのだろうか。

1806年、ナポレオン1世はアウステルリッツの戦いで大勝後、パリの真ん中に凱旋門を作るよう命じた。フランス革命とナポレオン戦争の戦死者を称えるためだった。凱旋門の下には、第1次世界大戦で戦死した無名勇士らが埋葬されているが、ナチス占領期にここにナチス・ドイツ旗が掲げられた屈辱も受けた。

クリストとジャンクロード夫婦が、栄辱の歴史に耐えた記念碑を包み込もうと決心したのは1961年だった。クリストが共産化した祖国ブルガリアを脱出してパリに来てから3年後のことだった。パリで会った2人は、ドイツ帝国議事堂やポンヌフ橋のように、歴史的で象徴的な建築物を布で包むプロジェクトで国際的な名声を得た。凱旋門梱包は夫婦の長年の宿願だったが、未完のプロジェクトとして残るところだった。2009年にジャンクロードに続き、昨年はクリストまで亡くなったためだ。クリストの甥であるヴラディミル・ヤバシェフの主導で夢が実現することができた。夫婦がいつもそうだったように、今回のプロジェクト費用1400万ユーロ(約194億ウォン)もドローイングなどの作品販売額で独自に調達し、16日間の展示後に撤去される布とロープは全てリサイクルされる。

作品が公開されると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「60年の夢の達成、狂った夢が実現したもの」と感激を表した。60年前、とある難民芸術家がパリの凱旋門を梱包すると言った時、みんな狂った考えだと言ったのではないか。同じ夢を持った芸術家夫婦は一生その夢を追い、結局夢を叶えた。パリジェンヌたちは、狂った夢が実現した現場を近くで見守り、触って歓声を上げている。もしかすると、夢は狂ってこそ叶うものなのかもしれない。