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自由に向かう世界

Posted August. 27, 2021 08:40,   

Updated August. 27, 2021 08:40

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一人で広い海を渡ってきた雁だが、城郭を取り囲む浅い貯水池すら見つめることができず、おずおずしている。荒々しく険しい旅程を経たため、全てのことが恐ろしく慎重になるばかりだ。ちらっと横目で見ると、カワセミ一対が三柱樹の頂上に巣を作った。伝説の中の神聖な木とはいえ、その上で華やかな羽を誇る限り、常に弾丸の洗礼の危険が伴う。昔から良い服を着ると、人から後ろ指を差されやすく、有能な者は幽霊の嫉妬を受けるという。雁はまた高い青空で悠々と遊ぶ夢に浸る。栄華を享受するが、狩人の矢を心配することはさみしくても、喜んで自由の道を選ぶ。

宰相として、唐の玄宗(ヒョンジョン)から厚い信任を受けた張九齢(チャン・グリョン)だが、周りの妬みも少なくなく、結局地方官に押し出されることになった。政治と官僚世界の混濁を痛感した彼は、連作詩「カムウ12首」にその感想を込めた。世の中でいくら絶頂を味わっても、結局は無意味に消えてしまうものだという教訓を、カワセミの傲慢と栄華になぞらえて警告している。名利への執着を責める中、自分の孤立無援を努めて自ら慰めようとする雰囲気も感じられる。