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蘇東坡の思いやり

Posted July. 16, 2021 08:25,   

Updated July. 16, 2021 08:25

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この詩は、3人の合作とされている。唐の文宗が前の2句を作り、臣下にこれに合う2句を付けて詩を完成するよう指示した。臣下が先を争って作った詩句の中で、皇帝は「爽やかな風が南から吹いてきて、宮殿もわずかに涼しい」という柳公権の詩句を選んだ。みな夏の暑さを苦しむが、私は夏の日が長いことを愛すというと、爽やかな微風のためだと応えたので、皇帝としては気持ち良い散策になったことだろう。真夏の宮廷内の風景を淡々と描写した小道具程度に読めばいい。

後に、蘇東坡とも呼ばれた蘇軾がこの詩に一言加えた。柳公権が文宗と共に完成した詩はただ美しいだけで、教訓的なメッセージが込められていないということだ。そして、最後の4句を補充した。人は境遇や地位が変われば、過ぎた日の苦楽を簡単に忘れたり、他人の立場を冷遇することが多い。東坡は、君臣が享受する爽やかな風、その恩恵を世の中の皆が共有すればという希望を説明する。「易地思之(立場を変えて考える)」という牧民官としての思いやりといえる。一方、東坡のこの4句が無駄という批判もある。東坡の言葉が間違ったわけではないが、無理に付け加えたために原詩の閑静な味が変質したということだ。

成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授