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ボローニャで見つけた「イタリアの味」

Posted June. 05, 2021 08:10,   

Updated June. 05, 2021 08:10

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イタリア旅行に行ったことのある人は多くても、ボローニャに足を運んだ人はまれだろう。多くの人が、ミラノからスタートし、ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマにつながるルートで旅行をするが、自身を「奇異な旅行者」と称する同書の著者は、特異にもボローニャを選んだ。20年間記者として働き、50歳の年齢でイタリア料理にはまり、会社を辞めてイタリアに料理留学した著者は、1ヵ月間滞在したボローニャに魅了された。イタリア料理の神髄と言えるチーズとサラミの発祥の地、卵と小麦粉を混ぜて作った生パスタの聖地。活力と笑いがあふれる幸福の都市ボローニャの秘密を味に見つけた著者の記録だ。

同書は、イタリア旅行中に、あるいは韓国でよく接するイタリアのパスタとピザの背後に隠されたイタリア人の匠の精神を伝える。例えば、ピザの元祖であるイタリア南部式ピザは、生地が厚くてはいけないという徹底した基準があり、ナポリのピザ協会はピザの中心の厚さが3ミリを超えればナポリピザという名前をつけない。また、牛肉とトマトソースを煮込んで作られる北部のラグーソースを南部のスパゲッティ麺に混ぜるように境界を越えることは「失礼な料理」という考え方は、イタリア人の料理に対する自負心がうかがえる。ローマ帝国滅亡後、イタリア人は別の地域で各自の歴史を作って暮らしてきたので、彼らには国家的アイデンティティよりも自身が属する地域の歴史と伝統がより重要だという。地域が持つ料理のカラーを失わないとする努力もうかがえる。

パスタとピザから始まってハムやチーズ、ワインまで続く料理の話に加え、ボローニャで会った人々や街頭の建物や画廊など文化の話も興味深い。赤いレンガの建物が立ち並び「赤い都市」とも呼ばれ、欧州最古の大学があるということで「大学都市」とも呼ばれ、美女が多く「美女の都市」という愛称もつけられたボローニャを著者が直接見て感じた記録が盛り込まれている。


金哉希 jetti@donga.com