Go to contents

橘の木に捧げる忠誠心

Posted June. 04, 2021 08:13,   

Updated June. 04, 2021 08:13

한국어

江南の橘の木が冬を経験しても、なお緑林であるのは、温暖な気候のためではなく、寒さに耐える力があるからだ。赤い実も、賓客に勧めることができるほど貴重だ。どうして、重なる険しい土地に阻まれようか。赤い橘が認められるかどうかは、運命にかかっている。これは無限にめぐりめぐる自然の摂理と同じで、我を張ったからと解決される問題ではない。橘の木が寒さに耐える力を内に秘めているように、詩人は黙々と世の摂理に従って忠節を守ることを誓う。

これは、唐の玄宗の時代の名宰相、張九齢が朝廷を追い出されて江南の地に左遷された時に作った詩だ。詩人は、玄宗との間が「重なる険しい土地に阻まれ、遠ざかった」ことに耐え、この状況を運命と受け入れる。赤い橘のように、貴い方への思いを内に秘めたまま。世の人よ、一見華やかな桃李の木にこだわるべからず。味と香りとともに陰をつくる役割なら、橘の木も遜色がないのだから。