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Kダークヒーロー物「復讐」で人気

Posted May. 03, 2021 08:16,   

Updated May. 03, 2021 08:16

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「一週間、ご苦労さまでした。模範タクシーに乗ってドライブはいかがですか。午後10時に出発です」

毎週金曜日夜、SBSドラマ「模範タクシー」の視聴者はSNSに集まる。彼らが「模範タクシー」を待つ理由は、アクションと痛快さのため。ドラマがもどかしい現実の脱出口ということだ。

最近、韓国版ダークヒーロー物が人気を呼んでいる。ダークヒーロー物の特徴は、主人公が自分の行為が違法であることを知っていることだ。「模範タクシー」では、「法の枠内で消えればいいんだね。さもなければ犯罪になるから」というカン・ハナ検事(イ・ソム)の台詞を通じて、キム・ドギ(イ・ジェフン)らの復讐が違法行為であることを明確にする。キム・ドギらは、犯罪集団に潜入し、関係者を殺害したり拉致して臓器売買までしようとする。

tvN 「ビンセンジョ」はもっと赤裸々だ。「悪は悪で裁く」という副題で、ビンセンジョは不正を犯すバベルグループだけでなくバベルと敵対関係にある自分も悪者と規定する。

 

ダークヒーローは、善良に描かれた過去のヒーローと比較される。韓国版スーパーヒーロー物で脚光を浴びたKBS 「カクシタル」(2012年)で、鍾路(チョンロ)警察署の刑事イ・カント(チュ・ウォン)は日帝に対抗して戦い、朝鮮人に慰めを与える人物だが、名前のない英雄の運命を選んだ。

現実的なキャラクターも次々に登場した。KBS「キム課長」(17年)で会計不正の見返りにキム・ソンリョン(ナム・グンミン)は悪を断って生まれ変わり、OCN「驚異的な噂」(21年)でソムン(チョ・ビョンギュ)らは命を延ばす条件で悪霊ハンターのカウンターになったが、心から任務に臨む。このような一連の過程を体験し、唯一無二で無欠のヒーローに対する崇拝よりも、欠点を持って生きていく一般人も助力者になることができるという流れが強まった。

 

ダークヒーロー物はさらに、悪を素早く痛快に裁く方法が暴力という現実を皮肉る。「ビンセンジョ」19回で、「チャン・ハンソク(オク・テクヨン)のような人間を罰する最善の法は存在しない。次善の法もない。それゆえ弁護士の次悪に従う」というホン・チャヨン弁護士(チョン・ヨビン)の台詞がそうだ。ただ、悪を裁く暴力的な方法に無感覚になるかもしれないという懸念もある。

一方、被害を受けた弱者の事件後の暮らしにまで光を当てるところがコリアン・ダークヒーロー物の特徴という分析もある。「模範タクシー」は、韓国社会で人々を驚愕させチョ・ドゥスン事件、ウェブハード・ヤン・ジンホ会長のパワハラ事件、塩田奴隷事件などを扱い、5回末尾の隠れトラックで被害者が通り過ぎる姿を描いた。被害者が日常を暮らし、どこにでも被害者がいるということを暗示したのだ。


キム・テオン記者 beborn@donga.com