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二度の大事故

Posted April. 29, 2021 08:20,   

Updated April. 29, 2021 08:20

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2002年、第59回ヴェネツィア映画祭の開幕作はフリーダ・カーロの伝記映画「フリーダ」だった カーロが生まれ変わったかのように熱演したメキシコ俳優のサルマ・ハエックはその翌年、アカデミー主演女優賞にノミネートされ、演技人生の転換点を迎えた。画家カ-ロの人生にも、2度の転換点があった。自ら「大事故」と表現した出来事だった。

「私の人生では2度の大事故があった。車の事故とディエゴ、まさにあなたのことよ!2つの事故を比べるとあなたのほうがひどいわ!」。映画の中の台詞は、カ-ロがディエゴ・リベラに実際に言った言葉だ。18歳の時に会った交通事故は、医者を夢見た少女の人生を一変させた。ベッドに横になって、激しい肉体的苦痛を忘れるために始めた絵画は、彼女を画家の道に導いた。二度目の大事故は、メキシコ美術の巨匠、ディエゴ・リベラとの結婚を指す。夫の女性遍歴と頻繁な浮気は、彼女に肉体的苦痛よりも大きな心の傷を与えた。2つの事故でカーロは地獄の底まで経験したが、その苦痛を自画像に落とし込んで自らを癒した。

この絵は、カーロが10年間の結婚生活を終える1年前、ニューヨークに展示旅行に行った時に製作されたものだ。彼女は他の自画像のように、傷ついて血を流したり、悲しい姿ではなく、豪胆で堂々としているように見える。リベラの妻ではなく、独立した画家としてニューヨーク展示を成功裏に終えた後のようだ。濃いカモメのような眉毛が印象的な彼女は、メキシコ伝統衣装の上に動物の骨のネックレスをしていて、まるで密林の女戦士のようだ。隣で肩を組んで慰労している動物は、一緒に住む猿だ。実際に、カ-ロは猿やオウムのような異国的動物と植物を育てながら、心の安静を取り戻した。

切迫さが奇跡を作ったのか。ハリウッド映画の素材になるほど劇的な人生を送ったカーロ。2度の大事故は恐ろしい苦痛の始まりだったが、その苦痛から脱したい切迫さは、彼女をリベラに劣らぬ世界的な美術家にした原動力だった。

美術評論家