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ニューヨーク脱原発の逆説、火力発電増え環境悪化

ニューヨーク脱原発の逆説、火力発電増え環境悪化

Posted April. 15, 2021 08:29,   

Updated April. 15, 2021 08:29

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米ニューヨーク州が環境にやさしいエネルギーの生産比率を高めるようと原子力発電所を閉鎖しているが、この措置がむしろ火力発電への依存度を高め、環境を悪化させている指摘する声が出ている。

米紙ニューヨークタイムズが13日に報じたところによると、ニューヨーク州はハドソン川沿岸にあるインディアンポイント原発の最後の原子炉を今月末に閉鎖する予定だ。これは、ニューヨーク市からわずか40キロの距離にある同原発が、住民に危険で環境に悪影響を与えかねないというニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事の判断によるものだ。クオモ知事は4年前、この原発を徐々に閉鎖し、2030年までに州全体消費電力の50%を風力、太陽光、水力など環境にやさしいエネルギーで供給するというプランを打ち出した。2019年にはこの目標値を70%に引き上げた。

しかし、ニューヨーク市電力の4分の1を生産するインディアンポイント原発の稼動が中止となり、従来の再生エネルギー生産目標の達成はさらに難しくなったと、同紙は皮肉った。原発が担当していた電力生産を既存の火力発電に依存するようになり、むしろより多くの二酸化炭素を空気中に排出する結果を招いたという。

実際、ニューヨーク州の計画を受け、昨年夏に同原発の原子炉の稼動を中止し、ニューヨーク州でガス火力発電で生産される電力比率は、19年の36%から昨年は40%へと高まった。原発稼働に賛成する市民団体「ニュークリア・ニューヨーク」は、「夏場に電力需要が高まれば、従来のガス火力発電所の電力生産は従来より3分の1ほど増加せざるを得ない」と分析した。

コラムニストでエネルギー分野専門家のロバート・ブライス氏は同紙に「原発を閉鎖するのはニューヨークのエネルギー史で最も大きな過ちになる」とし「これは誤った決定だ」と批判した。

ニューヨーク州当局も、原発閉鎖がクリーンエネルギーへの転換に障害になることは認めている。ただ、これは一時的な現象に過ぎず、再生エネルギーインフラが整えば、問題は解決されると反ばくしている。


兪載東 jarrett@donga.com