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無能な指導部が招いた破局

Posted April. 13, 2021 08:26,   

Updated April. 13, 2021 08:26

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家の前にある倉庫型の建物は、普段いったい何をする所なのか分からないほど、打ち捨てられた場所だったが、最近、毎日人が押し寄せている。列をつくって順番を待っているのは、新型コロナウイルスのワクチン接種のために集まった人々だ。ニューヨークをはじめ米国の多くの地域では、数日前から成人なら誰でもワクチンを接種する資格が与えられた。市民は1日でも早くワクチンを打つために先を争って予約し、日常の回復に向けた死闘を繰り広げている。

このような爆発的なワクチン需要に合わせるために、当局も供給に全力を尽くしている。初めは、体育館や野球場のようなところだけで接種が可能だったが、最近は町の薬局やコンビニ、映画館でもワクチンを打つことができる。

ワクチンが足りなかった頃とは違って、年齢、健康状態、滞在資格などは問わない。事前に予約をし、居住地を証明する書類を持って行けば、誰でも無料で接種できる。高危険群の多くがすでにワクチンを接種したため、今は誰が先に打てば公正かを問う必要も、そのような時間もない。今は無条件に「早く、そしてたくさん」打つことが重要だと判断したのだ。

昨年からワクチン開発と生産に全力を尽くしてきた米国は、このように接種もまるで戦争のように行われている。国民も懸念したよりも特に抵抗感なく、比較的よく賛同している。このような態度から、一つの一貫した流れが見えてくる。このうんざりする戦いを終わらせる武器は、結局はワクチンしかないという判断、そしてこれを成し遂げるという強い目標意識だ。このような認識の前では、与野党の違いはない。感染対策に多くの弱点を露呈したトランプ前大統領も、在任当時、ワクチンの開発だけは「ワープスピード」で推進した。バトンを受け継いだバイデン政権は、国防生産法まで発動し、ワクチンの確保と供給に死活をかけた。昨年、米国が新型コロナウイルスの初動の失敗やマスク着用論議で、どの国よりも多くの被害を受けたのは明らかな事実だ。しかし、ワクチン接種者が成人の45%を超えた今は、日常への復帰が近づいていると評価されている。

接種のスピードが増し、経済の展望も明るくなっている。最近、ウォール街では約20年ぶりに「ゴルディロックス(Goldilocks)」という言葉が聞かれ始めた。経済活動が再開し、情報技術の発達で起こった1990年代の長期好況が再現されるかもしれないという期待が高まっている。最近、ニューヨーク・ニュージャージーの主要港湾は、貨物コンテナの物流量が平年より2割増えた。製造工場は生産量が急増し、働き手の獲得が非常事態となった。米経済を支える消費が息を吹き返した兆しだ。ウイルスが統制され、サービス業も正常軌道に戻り、非対面技術の発達が産業革新につながるなら、国際通貨基金(IMF)が提示した今年6.4%の成長率は雲をつかむような展望ではないかもしれない。ワクチンが最も強力な景気刺激策になったのだ。

 

今後、ウイルスとの戦いで誰が先に勝利するかということは、ワクチンをどれだけ確保したかによって決まるという「ワクチン・ディバイド」が現実になりつつある。集団免疫形成の時期が数ヵ月違っても、国家経済に及ぼす波及力は莫大なものとなるためだ。韓国はこれまで被害を最小限に抑えることにある程度成功したが、この不幸な時間を早く終わらせる努力では後れを取っている。昨年何の理由でワクチン確保が遅れたのか、後に必ず明らかにされなければならない。