Go to contents

車が家になった人々…路上で希望を探す

Posted April. 03, 2021 08:04,   

Updated April. 03, 2021 08:04

한국어

「彼らを『ホームレス』と呼ぶ人もいる。新しいノマド(遊牧民)たちは、そのようなレッテルを拒否する。彼らは自分たちを簡単に「ハウスリース」と呼ぶ」

ホームレスとハウスリース。違いがないように聞こえる2つの単語を、2008年の金融危機後に現れた米国の新ノマドたちは厳格に分ける。彼らにはコンクリートの壁や柱でできた伝統的な形態の家(ハウス)はないが、夜に横になって眠り、食事をする空間としての家(ホーム)はある。彼らにとって家はバンやRV、ピックアップトラックだ。ジャーナリストの著者は、車を家として漂流するノマドたちを3年の間、密着取材した。金融危機の影響を受けた彼らの人生がどのように崩壊し変化したのかを分析した。

 

本の中心には64歳のリンダ・メイがいる。メイも、家賃の値上げと低賃金に苦しみ、車上生活を選んだ一人。彼女は、自分の家である黄色のトレーラーに乗って仕事を探し、全国を移動する。国立公園のキャンプ指導員から年末のシーズンに合わせてノマドを雇用するアマゾン社の発送センターまで、彼らは漂流しながら仕事をする。著者は、様々な理由で車上生活をすることになった人々を取り上げることで、システムの崩壊がもたらした禍を個人が負わなければならない米国の現実を見せる。

同書は、車上生活が単に生存のためだけの旅程でないことに光を当てる。ノマドたちは、あちこちを漂流して予期しなかった幸福に出会ったりもする。バンを整え、新しいノマドたちに会い、彼らと傷と思い出を共有する。タイヤがパンクすれば、少額の募金で助け合い、悲劇の中でも希望を見出すノマドたちの楽天性を美しく描く。

同書は、中国系米国人女性のクロイ・チャオ監督が演出し、フランシス・マクドーマンドが主役を演じて映画化された。映画は、ベネチア国際映画祭の金獅子賞、ゴールデングローブ賞の最優秀作品賞を受賞した。25日に開かれるアカデミー賞では、作品賞や監督賞、主演女優賞など6部門でノミネートされた。


金哉希 jetti@donga.com