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死を前に謙遜になれ

Posted April. 01, 2021 08:21,   

Updated April. 01, 2021 08:21

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キリストの死をこれほど悲惨で悲しく表現した絵が他にあるだろうか。15世紀のイタリアの画家アンドレア・マンテーニャは、死んだイエスの姿をあまりにもリアルに描き、見る人を衝撃に陥れる。そのうえ画家は、この絵を死ぬ日まで大事にしていた。その理由は何であろうか? 死んだキリストを哀悼する絵は多くの画家が描いたが、マンテーニャの絵が最も有名で実験的と言える。まず構図が変わっている。イエスの遺体を足元から見た構図で描いた。絵の中に体を縦に描き入れるため、極端な短縮法を用いた。その結果、イエスの体は実際よりも短くなり、足も非常に小さく描かれた。うな垂れた両手と足には、十字架にかけられた時にできた傷跡が鮮明だ。冷たい遺体を覆った布と傷ついた胸の上に見えるイエスの顔には、苦痛がこもっている。そのそばでハンカチで涙を拭いている女は聖母マリアだ。イエスの弟子であるヨハンとマリア・マグダレーナもそばで泣いている。

マンテーニャは、他の画家とは違ってイエスを美化しなかった。苦痛の中で死んでいったある青年の凄惨な姿を私たちの目の前に見せているだけだ。聖母も、しわだらけの顔で、息子を失った苦痛に泣き叫ぶ老母として描写されている。だからといって、イエスを敗北者と描くことはできなかったはずだ。画家は、イエスの生殖器を果敢に絵の中央に配置した。これは新しい生命の誕生、すなわち復活の希望を象徴する。マンテーニャはこの絵を死ぬまでそばに置いた。教会や貴族ではなく、自分の葬儀用の礼拝堂のために制作したためだ。当時彼はマントヴァの宮廷画家で、富と名声がピークに達していたが、イエスの受難と死を考え謙遜しようとした。

死を恐れぬ者がいるだろうか。平均寿命は延びているが、死は依然として恐れの対象だ。マンテーニャの絵は、今日を生きる私たちに、死を前にして謙遜せよと警告しているようだ。同時に、喪失の悲しみは愛から始まった当然の感情だから、我慢しないで思う存分悲しむようにと言っているようだ。

美術評論家