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遡及没収と全公職者の資産登録は選挙用の過剰対策だ

遡及没収と全公職者の資産登録は選挙用の過剰対策だ

Posted March. 30, 2021 08:16,   

Updated March. 30, 2021 08:16

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、大統領府で開かれた緊急の反腐敗政策協議会で、「資産登録制を全ての公職者に拡大し、初任命後の資産変動と形成過程について常時点検を受けるシステムを用意せよ」と指示した。また「不当利益を徹底的に回収すべきだ」とも主張した。政府与党は前日の政府与党間協議会で、不動産投機利益を遡及して没収する立法を推進することを決めた。遡及立法は違憲の余地があり、資産登録の拡大も実効性に疑問が少なくない。強力な投機対策は必要だが、ともすれば選挙を控えた過剰対策に映りかねない。

与党は、投機公職者を「親日反民族行為者」と同じレベルと規定した。日本植民地時代に親日派が蓄積した資産を遡及して没収する特別法があったので、投機利益の遡及没収も違憲ではないという立場だ。憲法は、制定後の犯罪に適用する。遡及没収を強行すれば、憲法訴願が提起され、古い「不法利益」を立証することも容易ではない。

国会は24日、公共住宅特別法の改正案を可決した。未公開情報で投機した公職者を最大無期懲役に処し、不法利益を没収する法案だ。不当利益の3〜5倍の罰金も科す。このような法案を議決するやいなや遡及立法に乗り出したことは、過剰禁止原則に反するという論議を避けられない。遡及するなら、いつから、どのようなところで、誰に適用すべきかなどの基準も議論を呼んでいる。

政府が拡大する資産登録の対象は、9級までの全公務員と公共機関の職員などすべての公職者だ。150万人を超えるが、直系尊卑属も含まれる。4人家族基準で計算すれば、600万人に達する。投機情報と関係のない公立学校の教師や国公立病院の医療陣まで含まれる。彼らは、住宅1戸を売買するたびに、予め当局に届け出なければならない。文大統領は、「常設監視機構として不動産取引分析院を設置する」と述べた。全公職者の資産を常時点検し、不動産監視機構まで運営するには、行政力の浪費は避けられないだろう。

政府と与党は、韓国土地住宅公社(LH)投機事態以降、「民族反逆者」「敗家亡身(資産を使い果たして身を滅ぼす)」などと言及し、発言を強めてきた。不法投機を防ぐということに反対する人はいない。今回、不法企画不動産と借名投機まで、完全に根絶しなければならない。しかし資産を遡及・没収し、身を滅ぼすほどの法案なら、十分な検討を経て施行するのが正しい。投機は抑制するものの、見せかけの脅しではなく、実効性のある対策を地道に実施しなければならない。