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本を読む母

Posted February. 11, 2021 08:59,   

Updated February. 15, 2021 07:49

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母親はその存在だけでも慰めになり力になる。だからといって世の中のすべての母親が犠牲と愛の代名詞になれるわけではない。子どもに記憶される母親の姿もまた様々だろう。デンマークの印象派の画家アンナ・アンカーは、本読む母親の姿をよく描いた。実際に画家の母親は生涯、本に親しんだ。母親にとって本はどんな意味だったのだろうか。

デンマーク最北端の漁村スカーゲンで生まれ育ったアンカーが国際的に成功した画家になることができたのは、母親の犠牲のおかげだ。旅館の主と結婚して6人の子を産んだ母親は特に末娘のアンカーに献身的だった。女性は正規の美術教育を受けることができなかった時代、母親は娘の才能を生かすために私立の美術学校に送り、アンカーは男性画家のようにパリにも留学することができた。そうして画家仲間のミカエル・アンカーと結婚した後、初めて危機を迎える。絵の師匠までもう筆をおいて家庭生活に専念するよう助言した。しかし、アンカーは出産後さらに旺盛に活動し、海外の展示を通じて成功した。母親の助けで家事と育児から自由になれたので可能だった。母親は、画家の娘の作業時間を確保するために食事は旅館の食堂でするようにし、孫娘の育児もした。夫の死後には息子と共に旅館を経営し、70歳まで忙しく働きながらも子どもたちの世話をし、いつも祈り、本を読んだ。アンカーはそのような母親の姿を絵画に描いて記録した。絵の中の老母は、日が差す青色の部屋に座って読書に集中している。83歳だがしっかりとした姿だ。

生涯を漁村で暮らした母親は、本を通じて他の世界を夢見て旅行しただろう。自分は家族のために犠牲になる人生を送ったが、娘の夢を支えて応援できたのは、子どもがさらに広い世の中で幸せになることを望んだからだろう。老母は娘に続いて孫娘まで画家になるのを見守り、90歳で安らかに目を閉じた。