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地球を離れることができない理由

Posted November. 21, 2020 08:48,   

Updated November. 21, 2020 08:48

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地球は太陽系の惑星の中で人間が生きるのにちょうど良い所だ。他の惑星と違って、大気層が生命体を保護する。地球に大気が存在する理由は、重力が大気をつかまえているからだ。地球は太陽から遠くも近くもない距離にあり、大きさも適度だ。それゆえ地球に作用する重力は、大気が宇宙に散ったり地表面に吸着したりすることなく、一定の厚さの大気圏を維持するよう絶妙に作用している。人間にとって最適な環境を作るこのような大気形成の条件は神秘といえる。

大気圏は地上1000キロの厚さで地球の保護膜の役割をする。地表面から約11キロまでの対流圏では、風、雲、雨、雪など気象現象が起きる。気象現象は、大気の循環を通じて、地球全体のエネルギー平衡を成し、温度差を減らし、地球の至る所に活力を吹き込む。しかしこのように調和のとれた大気圏が、人間が排出した二酸化炭素で均衡が破られ、気候変動が一線を越え、元に戻すことができなくなったという懸念が強まっている。

地球温暖化を防ぐための地球的次元の努力が国連を中心になされている。他方で、地球の荒廃化を避けることができないと考えて、地球を離れて他の惑星に移住しなければならないというSFのような話が取り沙汰されている。2018年に他界した天体物理学者スティーブ・ホーキング博士は、地球温暖化で人間の滅亡を望まないなら、200年内に地球を離れなければならないと遺言を残した。テスラの創業者イーロン・マスク氏は、火星に居住地を作るために、スペースシャトル事業「スペースX」を立ち上げ、今月16日に有人スペースシャトル「レジリエンス(Resilience)」を実際に打ち上げた。このスペースシャトルに搭乗した飛行士が無事に帰還する場合、「民間宇宙輸送時代」が本格的に開かれる。

人間が他の惑星を開拓するのは、科学技術史に大きな意味があるだろう。しかし、地球を捨てて新しい居住地を作るためなら、それが可能かどうかを離れ、批判的に考えてみる必要がある。地球を人間の家(House)と見るなら、古い家を捨てて新居に引越しすることはできる。しかし、地球を人間の家庭(Home)と考えるなら、簡単に切り離すことはできない。家庭は構成員間の不可分な関係で成り立つ共同体だからだ。

地球を人間の家庭とする見方は、人間中心の産業文明から地球中心の生態文明への転換を求めるトーマス・ベリーの思想を基礎とする。地球を生命と自然が結びついた共同体と見る彼の思想は、地球に法的人格を与える地球法学(Earth Jurisprudence)にまで続いている。太初のビッグバンによる地球の誕生と大気の形成、そして生態文明への展開が決して偶然ではないということをベリーは『宇宙の物語』で語る。ベリーの思想によると、人間は荒れ果てた地球を捨てることができる存在ではない。地球と人格共同体である人間が毀損された地球を蘇らせることが、自らを癒すということをベリーは強く示唆している。