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笑った罪

Posted November. 20, 2020 09:28,   

Updated November. 20, 2020 09:28

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美しい母娘の肖像画だ。母親の懐に抱かれた娘と両手で子どもを抱く母親は幸せな表情で、画面の外の観客を見ている。19世紀のフランスの画家、エリザベト=ルイーズ・ ヴィジェ・ルブランが描いた絵は温かい母性愛が感じられるが、発表されるやいなや、多くの非難を受けた。なぜだろうか。

ヴィジェ・ルブランは父親が画家で、幼い頃から絵を学ぶことができた。10代初期に肖像画を描き、15歳には亡くなった父親に代わって家族を養うほど十分な稼ぎを得た。19歳にパリの聖ルカアカデミーの会員になり、2年後に画家で画商の男性と出会って結婚した。絵の実力だけでなく美貌とファッション感覚、社交性まで優れ、上流層の顧客の注文が殺到した。マリー・アントワネットの目にも留まり、女王の公式肖像画家となり、王立絵画彫刻アカデミーの会員として名を馳せた。

この絵は31歳の時に描いた自画像だ。6歳の娘を抱いている画家の姿は非常に幸せに見える。しかし、絵が1787年、サロン展に出品されと大きな論議を呼んだ。芸術家はもとよりパトロンも非難を浴びせた。理由はただ一つ。女性が歯を見せ、口を開けて笑っているためだった。これは当時の人々には美術の伝統を破る不埒な行為と見なされた。

もっと大きな危機は3年後に起こった。フランス革命でパトロンが逮捕され、ヴィジェ・ルブランは娘を連れて海外に逃れた。帰国するまでの12年間、一人で子どもを育て、世界各地を飛び回った。行く先々で、名士の肖像画を描いて金を稼ぎ、10都市でアカデミー会員として活躍した。

時代をリードした画家だったが、ヴィジェ・ルブランの芸術は非常に長い間、正当な評価を受けることができなかった。社交術と容貌で実力が認められたとか、自我陶酔に浸った母性愛を描いたという非難に苦しめられた。生涯で800点以上の作品を残したヴィジェ・ルブランは、比較的最近になって再びスポットライトを浴びている。美貌と才能、認められる専門職、母性愛溢れる母親、最近なら「スーパーママ」、「ワンダーウーマン」と呼ばれるのではないだろうか。