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命を守る「空気毛布」

Posted October. 31, 2020 08:41,   

Updated October. 31, 2020 08:41

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天気は気持ちと同じで、気候は性質と同じだという言葉がある。毎日の天気が積もれば気候になり、日常の気分が体に染み込むと性格になる。天気と気分は頻繁に変わるが、性格や気候はなかなか変わらない。最後の氷河期が終わって、1万年以上温暖な気候が続き、地球に多くの生命体が栄えてきた。人間が住める気候が維持されるのは、地球を取り巻く大気が温室効果を作るからだ。大気がなければ、地球の平均気温は今より33度低く、人間が住めないところになる。したがって、とある大気環境科学教科書の最初の文はこのように始まる。「私たちの大気は破壊されやすい地球を取り巻く繊細な生命維持の空気毛布だ」

産業化後、大気中の二酸化炭素濃度が高くなり、気温を維持してきた「空気毛布」は、温室効果を高めて気温を早く上昇させている。なかなか変わらなかった気候にも変化が起こる。気候変動による異常気象も頻繁に発生する。産業革命以来、わずか200年足らずの期間に、平均気温が1度以上上昇した。今の傾向が続けば、今世紀前に気温が2度以上上がって、生態系は取り返しのつかない被害を被るだろう。2015年、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、平均気温が2度上昇すれば、生物種の20〜30%が絶滅するという見通しを発表した。気温の上昇幅を2度以下に下げるためには、1870年以降累積された二酸化炭素の排出量を790ギガトンに制限しなければならない。私たちは、私たちに許可された排出量の3分の2を既に使ってしまった状態だ。残りの排出許容量、すなわち、炭素予算約250ギガトンを各国が配分して、二酸化炭素の排出量を劇的に削減しなければならないのに、2030年以前に炭素予算が底をつく可能性が高い。炭素予算が枯渇するということは、二酸化炭素をこれ以上排出してはいけないという意味だ。二酸化炭素の純排出量がゼロ(0)の状態を維持するためには、排出量と削減量が相殺されて純排出がなくなるカーボンニュートラル(Net Zero)を実現しなければならない。すでに70カ国が、このようなカーボンニュートラルを宣言した。中国と日本に次いで韓国も、最近カーボンニュートラルを宣言して、2050年までに達成すると宣言した。

多くの国が、この列に加わっていることは幸いなことだ。しかし、カーボンニュートラルを実現することは、言葉のように簡単なことではない。産業革命の結果として誕生した現代文明は、石油や石炭に基づいている。まさに炭素依存文明と呼べるほど、炭素との決別は容易ではない。まだ120以上の国がカーボンニュートラルを打ち出しておらず、米国のように主要炭素排出国の気候政策が国内政治によって乱高下する。さらに根本的な問題は、主権国家中心の国際秩序で、各国の炭素削減の約束を強制する効果的な手段がないことだ。それにもかかわらず、大気を安定的に維持することは、あまりにも重要なことと言える。前述した大気環境科学教科書の次の句節はこう続く。「大気は、私たちが見て聞くすべてのことに影響を及ぼし、私たちの生活と不可分の関係にある。生命が生まれたときから一緒にする空気は、一時も私たちとかけ離れることができない存在だ」