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人間の「道探しの本能」が歴史を作る

Posted October. 17, 2020 08:27,   

Updated October. 17, 2020 08:27

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男性は本当に女性よりうまく道を探すのだろうか。

「男女の能力は異なるのか」という論争が起こると、常に登場する質問だ。しかし、この質問を科学的に分析した本は見当たらない。客観的で冷静にこれまで行われた研究を紹介する本を読むなら、この論争はもっと生産的になるのではないか。

 

ニューヨーク・タイムズやネイチャーのような有数のメディアの寄稿で有名な著者は、「脳科学」というキーワードでこの論争を解く。著書は基本的に脳科学を基盤とするものの、脳の向こうにある地球の歴史や社会現象まで探険する。各種事件や論争を例に挙げながら、人類の道探し本能を容易で効果的に説明していく。何よりも客観的な視点が際立つく。一方に偏らず研究結果を紹介し、様々な可能性を紹介する。

まず著者は、生まれながらの猟師だったホモサピエンスから扱う。ホモサピエンスに「道探し」は最大の武器だった。獲物の場所を知り、地形を把握して戦略的に狩りをしなければならなかったからだ。人類はその後も道探しの能力をもとに文明を作ってきた。偉大な探検家の道探しの能力は新大陸を発見し、文明を拡大させた。人類の歴史そのものが、人間が新しい道を探し出す過程なのかも知れないと著者は語る。

道を探す過程で、脳はどのような役割をするのか、なぜ人は道に迷うのか、道に迷った人はどのような恐怖に陥るのかといった論争も解いていく。また、人類がGPSを消した時、何を得ることができるのかと質問を投げかける。ホモサピエンスは持っていたが、現在の人類が失ったものを問いかける。著者は、地図での道探しの過程を人生の道探しという存在論的論争に拡張していく。

「私はどこにいるのか。私はどこに属するのか。私はどこへ行くのか。どうすればそこに行くことができるのか。これらは存在と生存に関する原初的な問いだ」


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com