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軍「戦作権移管、遅延すれば条件を修正」、政権の日程を安保より優先するのか

軍「戦作権移管、遅延すれば条件を修正」、政権の日程を安保より優先するのか

Posted October. 10, 2020 08:48,   

Updated October. 10, 2020 08:49

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元仁哲(ウォン・インチョル)合同参謀本部議長が8日、国会国政監査で、「戦時作戦権(戦作権)の移管が遠のいたり、私たちが考えるよりも遅延したりする場合、移管条件を補完する必要がある」と明らかにした。元氏は、「韓国軍主導の未来連合司令部に対する完全運用能力(FOC)検証を来年前半に実施することを米国に提案した」とし、「『X年(戦時作戦統制権の移管時期)』が決まれば、タイムベースで行く」と述べた。軍トップが、戦作権移管のために必要な核心条件の充足よりも、特定時期を目標に移管を推進する考えを明らかにしたのだ。

これまで韓米両国が戦作権の早期移管協議を行い、少なからぬ迂余曲折があったが、△韓国軍の核心軍事能力、△北朝鮮の核・ミサイル脅威への対応能力、△韓半島の安全保障環境の3大条件を維持する考えには変化はなかった。しかし、14日の韓米安全保障協議会(SCM)を目前にして出た条件修正発言は、任期内の戦作権移管の目標に向けて最大の力点を置くことを示唆したのだ。新型飛行機を製造して安全は眼中になく出庫日だけを合わせる発想と大差ない。

韓米両国は、戦作権移管後、韓国軍が主導する未来連合司令部の運用検証作業を3段階で行う計画だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、米本土から軍人が参加できず、夏季韓米合同軍事演習が縮小され、FOC検証ができなかった。ロバート・エイブラムス韓米連合軍司令官が来年の戦作権移管は難しいと明らかにしたのも、必須過程だけは拙速にできないという意味だ。必須の前提条件が満たされていないのに、韓国軍だけが性急にも検証の必要性を過小評価している。

戦作権の移管は、韓国戦争以来、韓米同盟を基盤にした韓国の安全保障の根本枠組みを変える重大な変化だ。戦争が起これば、米本土から数十万の兵士が動員され、韓米両軍は一糸不乱の単一指揮体系で動かなければならない。北大西洋条約機構(NATO)をはじめ合同防衛システムを持つ国と同盟体は戦時に、米軍司令官に指揮権を移譲して単一指揮体系を構築するが、韓国は戦時も韓国軍が作戦権を行使する新しいシステムを構築しなければならない。それだけ事前準備と前提条件の充足に手抜かりがあってはならない。

トランプ米政権は、在韓米軍駐留経費負担増加を迫り、在韓米軍の撤収を取り上げるなど、不確実性はますます大きくなっている。北朝鮮は、新型核兵器と大陸間弾道ミサイル(ICBM)級戦略兵器の開発を続け、脅威を強めている。このような状況で、戦作権の拙速移管は韓国の安全保障の悪夢になりかねない。

いくら任期内の戦作権移管が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の大統領選公約で政策目標だとしても、国家の命運がかかった安全保障政策は少しの失敗や隙もあってはならない。安全保障環境の変化に合わせて慎重に推進しても不十分な時に、大統領の政治的日程に合わせて拙速に推進することは、自害行為に相違ない。任期内の業績に加えるという欲と執着で安全保障問題を政治道具化しようとして、安保に穴をあけてはならない。