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隠れる所はない、GPSがある限り

Posted October. 09, 2020 08:57,   

Updated October. 09, 2020 08:57

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昨年、大西洋付近のフランス・サン=ナゼールの研究所にいたことがある。深い眠りについている明け方、突然、町のスーパーマーケットの広告メールが届いた。「豚バラ特価100グラム2364ウォン、サバ5000ウォン・・・」。「ある教授は今年8月15日、甥とソウル光化門(クァンファムン)の本屋に立ち寄ったところ、保健所から新型コロナウイルスの検査を受けるよう連絡を受けた。もうどこへ行っても携帯電話を持っていれば、世の中が私を見ることができるようになった。それだけ世の中はますます狭くなり、透明になっている。

小さな動きでも世の中と連動している。以前のように隠れる所はもうない。スマートフォンの電源がついた瞬間、望もうと望むまいと世の中とつながる。こちらの位置情報を与えてこそ世の中から情報を受けることができるシステムだからだ。スマートフォンの電源を消すと、それは世の中との断絶を意味する。

 

このような透明なネットワークの核心には、人工衛星を利用した全地球衛星測位システム(GPS)がある。GPSは地球上のどこでも自分の位置と速度、時間が分かるシステムだ。時間も、スマートフォンを通じて一寸の誤差なく全世界の人々と共有している。 

 

現在、24個のGPS人工衛星が位置情報を提供している。この衛星は、高度約2万キロの上空で約12時間に1回地球の周囲を回る。この衛星の中には10万年間で1秒の誤差しか出ない非常に精密な4つの原子時計が入っている。

GPS衛星は電波を通じて時計の正確な時刻と衛星の正確な位置を地上の受信機に送る。電波が受信機まで来るのに時間がかかるため、時間の差が出ることになる。この時間の差に光の速度を掛ければ、地上の受信機で人工衛星間の距離を得ることができる。物理学的に距離は時間に速度を掛ければ得られる値だからだ。基本的に4つの衛星から出てくる電波の時間情報を分析すれば、空間上の一点の位置を正確に知ることができる。この誤差は30メートルまで発生し得るが、軍事用GPSは誤差範囲を1センチまで減らすことができる。

GPSは、1973年に軍事目的で米国防総省が開発したシステムだ。83年に大韓航空旅客機がソ連の領空侵犯で撃墜されたことを受け、米政府が民間のGPS使用を許可した。2000年以降、米政府が政策上故意に雑音を送ることを止めたことで、民間用標準位置サービスの精密度が30メートル以下と精密になった。その後、GPSは車両、交通、犯罪、海洋、航路、航空、測量、地震感知、人命救助システムなど私たちの生活の至る所に入り込んだ。もはやGPSのない世の中は想像できない。

 

韓国は2024年に次期衛星「ムグンファ衛星6号」を打ち上げれば、韓国型精密GPS補正システムを備え、2035年に7機の航法衛星を打ち上げれば、独自のGPSシステムを備えることになる。遅きに失した感はあるが、他国に依存せず独自の位置システムを運営することは非常に重要だ。地球上で大韓民国を正確に位置づけるように。