Go to contents

植物肉市場を切り開くカギは「価値消費」

植物肉市場を切り開くカギは「価値消費」

Posted September. 28, 2020 08:14,   

Updated September. 28, 2020 08:14

한국어

今年の梅雨は取り分け長かった。春と秋は短くなっており、実際に韓半島の平均気温は上昇している。このように気候が変化していくほど、環境問題への人々の関心も高まっている。

環境や動物倫理などに敏感な「MZ世代」(ミレニアル世代とZ世代)の消費者は、企業に直接変更を求めることもある。最も急速に変化が現れる分野は、商品包装材と言える。製品の包装や配送パッケージなどに使われる梱包材を生分解性プラスチックに変え、ビニールラベルを紙に置き換える動きが急速に消費文化として定着している。このようにエコというキーワードは、今や顧客の選択を受けるための不可欠な要素となっている。ブランディングの重要な柱となったのだ。

環境に配慮した梱包材と同様に、エコという流れに乗って市場で急速に成長すると期待されていた分野がある。ほかならぬ植物肉だ。米フードテック企業・インポッシブルフード、ビヨンドミートなどの成長によって脚光を浴びている植物肉は、既存の畜産業の問題と限界を解決しようとする。畜産業の水の消費量と温室効果ガスの排出を減らそうというのだ。

2019年に国連が発表した資料によると、一般的な牛肉ハンバーガーを生産するためには2000リットル前後の水が必要となる。植物性タンパク質で作られた肉でハンバーガーを作る場合は、水の使用量の75~95%を節約できる。このように、従来の肉と似た味と歯ごたえを追求しながら、環境に与える負担を大幅に減らす「偽肉」類は、複数の国で人気が高まると期待される。

しかし、韓国ではまだ、このような植物肉製品は期待ほど売れていない。その理由は何だろうか?

まず、すでに韓国消費者たちは植物性タンパク質を多く摂取しているという点である。韓国は野菜の摂取量が、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で1、2位を争う。韓国人は、野菜そのものをたくさん食べる方で、植物性タンパク源もすでに多く摂取している。ほかならぬ豆腐と豆乳だ。

第二に、肉を食べる方法だ。植物性代替肉は加工の特性上、ハンバーガーパティのようにひかれた形が多い。ところが、韓国人は、ひき肉よりは生肉を直接焼いて食べることを好む。代替肉も焼いて食べることができるかもしれないが、どうしても肉のような味を期待するのは難しい。韓国内でも、植物性代替肉で作ったハンバーガーが発売されたが、どうしても韓国料理に適用されなくては限界がある。

それなら、エコを追求する代替タンパク質、代替肉製品が韓国市場で成功するのは難しいだろうか。代替肉より急速に成長する植物性乳製品群を調べる必要がある。国内牛乳消費量は減少しているが、菜食主義者たちが好むアーモンドミルクとココナッツミルクは成長が著しい。実はエコ目的でアーモンドミルクが開発されたわけではないが、牛乳に比べて温室効果ガスの排出量や水の使用量が少ないのは事実であり、この点が販売に役立っている。

また、欧州や米国では、牛乳を使わない植物性ヨーグルト市場も急速に成長している。国内でも一部の製品が紹介された。植物性代替卵も、間もなく国内市場に発売されると見られ、乳製品群と同様に急速な成長が期待される。

植物肉も、植物性乳製品のように段階的に市場を拡大できる戦略でアプローチすれば、勝ち目がないわけではない。つまり、植物肉も、加工技術が非常に発達して肉の味をしっかり出せるようになるまでは、結局、環境を強調する「価値消費」に一定部分を頼らなければならない。

また、長期的には技術開発を通じて根本的な味を向上させ、適切な調理法を見つけて味の大衆化を追求すべきである。植物肉を普及するためには、韓国人が好きで、ひき肉で作った餃子が最も適していると見える。特に冷凍餃子は、家庭で手軽に食べることができるので、様々な新製品が発売される市場で植物肉の使用を考慮してみるに値する。

今は環境問題について消費者が持っている罪悪感をどのよう軽減できるかが、ますます重要になっている。特にMZ世代を対象とするブランドであれば、環境への価値を製品やサービスの一要素として設計しなければならない。


リュ・シドゥ=ヒューチャーフードラボ代表 sidoo@fflab.kr