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国民の行方不明から殺害発表までの3日間「大韓民国」はどこにいたのか

国民の行方不明から殺害発表までの3日間「大韓民国」はどこにいたのか

Posted September. 26, 2020 09:11,   

Updated September. 26, 2020 09:11

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海洋水産部公務員である韓国国民が西海(ソヘ・黄海)で行方不明になって軍当局が北朝鮮の蛮行を発表するまでに3日がかかった。

彼の行方不明から死までの34時間、特に北朝鮮軍が彼を発見し、銃殺して燃やすまでの6時間、韓国軍は北朝鮮の動向を捉えても何の措置も取らなかった。さらに大統領府は、その蛮行の報告を受けても、1日半、36時間も公式の対応を先送りした。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に報告されたのは蛮行の10時間後だったという。

韓国の政府と軍が見せた対応を受け、国家の役割は何かという根本的な質問を投げかけざるを得ない。国民の生命と安全を守る国家の最優先の責務が放棄されたのではないかという質問に、政府は果たしてどのように答えるのか。政府は、「諜報のレベルなので事実確認が先だった」、「あのような蛮行を犯すとは想像できなかった」と言うが、政府がしたことは、行方不明の直後に軍と警察を動員した捜索作業と蛮行19時間後に電話通知文を送って北朝鮮に「問い合わせ」たことが全てだ。

無策傍観と言わざるを得ない政府の対応への疑問は大統領に向かうほかない。深夜に閣僚官会議まで開かれた事案を、文大統領は全く知らずに一夜を過ごしたという。このため、野党で文大統領の行動を明らかにするよう求めて前大統領の「セウォル号7時間」と比較するのも、大統領が知らなかったとして論議を回避しようとするのではないかと疑うのも無理はない。さらに文大統領は報告を受けても何もなかったかのように文化公演を観覧した。

政府の安易な態度は、この事件が初めてメディアで伝えらえた時に「越北の可能性」を強調したことと無関係ではないだろう。誰も断定できない諜報を口外したのは、韓国国民が目の当たりにした凄惨な死の意味を縮小し、事実上傍観した責任を回避するためと見ざるを得ない。万一、それが当たっているとしても、大韓民国は脱北者を裏切り者と扱う北朝鮮政権と同じはずがなく、政府の保護責務で軽重が変わることはあり得ない。

今回の北朝鮮の蛮行は、野蛮な金正恩(キム・ジョンウン)政権の実体を改めて確認させた。もし大統領と政府、軍が国民の生命を保護するために忠実に対応して役割を果たしたとしても、韓国国民が受けた残酷な結果は大きく変わらなかっただろう。しかし、少なくとも国民は、大韓民国が見せた姿で惨憺たる思いが少しは慰められたはずだ。