Go to contents

見る女性

Posted September. 24, 2020 08:17,   

Updated September. 24, 2020 08:17

한국어

モダンアートの火ぶたを切った印象主義は1874年から86年の間フランス・パリで開かれた8回の展示を通じて最盛期を享受した。50人以上の芸術家が印象派の展示を経験し、この中には女性も3人いた。米国から来たメアリー・カサットもその1人だった。

父親の反対を押し切って画家の道を選択したカサットは、22歳の時にパリに来て、2年でサロン展に入賞するが、女性だったので注目されなかった。1877年、サロン出品作を全て拒絶され、挫折した頃、エドガー・ドガの招待で印象派グループの一員になる。

 

この絵は、印象主義者に転向したカサットの初期の代表作で、パリのコメディ・フランセーズ国立劇場の女性観客の姿を描いている。劇場やオペラハウスは当時、パリの最高の人気名所だった。公演だけでなく、おしゃれな新興富裕層を見ることができる機会だったからだ。現代都市の活気に満ちた生活を描こうと考えた印象主義者にも、劇場は魅力的な素材だった。男性の画家たちも劇場の女性観客をよく描いたが、ほとんどが額の中の美しい展示物のように表現した。一方、カサットが描いた女性は、主体的で能動的だ。黒いドレスを着た女は、オペラグラスで何かを見ている。左上段の客席の男性が、彼女を凝視するのと同じ方法で。美術の歴史で男性は常に見る主体で、女性は見られる客体だった。カサットは既存の観念を破って、女性を積極的に行動する主体であり見る者として描いている。

1878年にこの絵が米国で初めて展示された時、「男性の力を凌駕する」と好評を得て、翌年の印象主義展示でもドガの作品と共に唯一非難を受けなかった。女性は美術大への入学もできなかった時代、不利で差別を受ける環境の中でも、カサットは生涯、筆を置かなかった。フランス政府はカサットの功労を認め、1904年にレジオンドヌール勲章を授与した。見る主体として登場する絵の中の女性は、自らの運命を堂々と切り開いた画家自身の姿ではないだろうか。