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500歳のイチョウ、屋外美術館になる

Posted September. 17, 2020 08:15,   

Updated September. 17, 2020 08:15

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明洞(ミョンドン)の繁華街と南大門(ナムデムン)市場があるソウル中区会賢洞(チュング・フェヒョンドン)のウリ銀行本店前の高さ24メートル、太さ8メートル老巨樹がある。「イチョウのお年寄り」と呼ばれるこの木の樹齢は523歳。ソウル市は1972年、この木を保護樹に指定した。木が立っているこの場所は、朝鮮前期の文臣・鄭光弼(チョン・グァンピル)(1462〜1538)の家の跡地だった。中宗(チョンジョン)時代、11年間領議政を務めたが、その後イチョウに代々丞相の帯がかかることになるという伝説が伝わってきた。実際、この家の跡地から12人の丞相が出た。この話が広く知られると、全国で善良で賢い人々が集まった。この時から家の跡地があるこの地域を会賢(善良な人たちが集まって住む所)と呼んだ。

500年以上の長い年月の間、会賢洞を守ってきたイチョウの木を称えるプロジェクトが進められている。ソウル市は、会賢洞のイチョウに美術作品を設置して、植物としての価値だけでなく、歴史・文化的意義を生かす作業を2月から行っている。保護樹として指定されてから48年ぶりのことだ。このプロジェクトを担当するソウル市のパク・ジェウン・デザイン政策課主務官は、「500年以上ここを守った木と木の近くに住んでいた人々の物語を復元したかった」とし、「会賢洞住民だけが知っている話を、ソウル市民と一緒に分かちあいたい気持ちからプロジェクトを開始した」と話した。

11月に木に設置される作品のタイトルは「無意識の共同体」。輪郭だけを生かした構造物が木を包み込む形のこの作品は、無形に近い軽い素材で作られる。作品を設計したチョン・イサク作家は、「人はせいぜい100年しか生きられないが、イチョウは500年を生きた」とし、「長い時間、木とともに生きてきた数多くの人々は無意識のうちに『一塊』で囲まれているという意味を込めたかった」と説明した。

「ソウルは美術館」プロジェクトの一環として、会賢洞イチョウを選んだ理由は、木を巡る住民の特別な愛情のおかげだった。ソウルの中心部に位置した会賢洞は、オフィス街が生まれて、元々この場所に住んでいた住民は、他の場所に一人二人と去っていった。残された人々を中心に、この地域の最古参ともいえるイチョウを中心に、町のアイデンティティを守るべきだという意見が集まった。実際、会賢洞の住民は、2012年から自主的に「イチョウ祭り」を開催している。

44年間会賢洞に住んだというキム・ヨンチャンさんは、「イチョウが500年になったなら、エピソードも500年間ある」とし、「木にまつわる物語を読み物として作って、全国民が木の物語を見て、心が温かくなればと思った」という願いをほのめかした。「イチョウ祭り」を初めて企画したオ・セホン氏は、「壮大な霊物のように見える木を称えようと、初めて祭りを企画したが、思ったより反応が良く、これもイチョウのおかげだと思った」と話した。

ソウル市は、会賢洞イチョウを皮切りに、ソウルに植えられている保護樹とそれにまつわるエピソードを発掘・保存するプロジェクトを推進する計画だ。会賢洞イチョウのように保護樹に指定された木は、ソウル市に150本、全国で1万600本がある。木の学者・コ・ギュホン氏は、「木は一つの生命体ではなく、虫、鳥、微生物などが集まって生息する複合生命体だ」とし、「生態緩衝地帯であり、生命体である木を復元して保存することが、共に生きる人々のための仕事でもある」と話した。


李知訓 easyhoon@donga.com