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幸せなスタート

Posted September. 14, 2020 08:21,   

Updated September. 14, 2020 08:23

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「私は毎回、今が一番幸せだ、そんなに努力するんだ」(キム・ジス「自尊家たち」)

著書「自尊家たち」のデザインの仕事をしながら、作業構想よりも原稿を読むことにより没頭している自分を発見した。原稿の中に蜜ツボのような名言がいっぱいあったからだ。経験と過程から始まって、現在の姿をもって証明されているので、それらの名言はなおさら信頼できた。俳優・申久(シン・グ)の「私は毎回、今が一番幸せだ、そんなに努力するんだ」「最高の演技者は、最高の誠実を持った者です。才能は大きな差がない」、特にこの二つの文章に嬉しさを感じた。努力することは、自分の物足りなさを知っているからであり、物足りなさを知っている人は、誠実にならざるを得ないからだ。自分のすべてのものを認めて受け入れるとき、初めて新しい「スタート」ができることを現実の中で体験している。

卒業して会社に就職して、新入としてデザインをするとき、チーム長という肩書きをつけてチームメイトをリードする時、結婚後、母親として新生児のケアをするとき、10数年間の職場生活から抜け出してフリーランスとして独立するとき。そのスタートはいつも容易ではなかった。しかし、振り返ってみれば、「本当に大変だった、二度とあの時には帰りたくない」ではなく、「そんな時もあったんだ」という胸がいっぱいになる良い思い出が先に浮かんでくる。社会生活を長くすれば、どのようなことも恐れないという人もいるが、実はそうではなかった。明らかに上手にはなるが、その後予想しなかった状況を克服して、再び気を引き締める時までの時間とエネルギーが必要だった。いつからか再び立ち上がって楽しい気持ちで開始するまでの時間が短縮されたが、落ち込んでいる私に向かって、慰めのためにかけた母の断固とした一言のためではないかと思う。「今が一番幸せな時であることを知る必要がある」★

いかに簡単な言葉なのか。誰でもできる短いその言葉は、私を立ち直らせるのに十分な処方薬となった。フリーランスになってから3年目、完璧ではないが、新たなスタートのためにできることが、まだ多い。幸せな過去になるには十分な幸せな今日である。