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映画祭に「レッドカーペット」が敷かれる理由は

映画祭に「レッドカーペット」が敷かれる理由は

Posted September. 12, 2020 08:40,   

Updated September. 12, 2020 08:40

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フランス最高権威の勲章・レジオン・ドヌールは、リボン掛け、リボン、刺繍など、ほぼすべてが赤い。赤ワインが白ワインよりも、赤身の肉が白い肉よりも元気を盛り上げるという信仰もある。赤いスポーツカーは、なぜかより早く走るような気もする。しかし、「ミニマル」と無彩色が一般的な21世紀では、ともすればダサいに感じられることもある。

この本は、大胆で権威的な色、赤の歴史について扱う。古代ローマから18世紀まで、西欧において赤は、どの色よりも波乱万丈な歳月を経た。中世紋章学の権威者である著者が「青の歴史」(2000年)と「黒の歴史」、「緑の歴史」を出してから「赤」を出した理由もここにある。

赤は、人間が初めて制御して作った色だ。製作時期が紀元前1万5000〜紀元前1万3500年頃と推定されるアルタミラ洞窟壁画のバイソンも、赤い色で彩色された。古典ラテン語で「赤」は「彩色された、有色の」という意味でも使われており、いくつかの言語では、色を表す用語で白、黒、赤の3つだけが存在するほどだ。このように、古代と中世社会で最も原初的で、優越していた赤は、中世末、その存在感が急速に揺れた。貴族的な色として急浮上した青、豪華さと優雅さを表象した黒の攻勢が続いたからだ。ここで、宗教改革後非道徳的であり、退廃的な色と烙印を押された赤は、16世紀末から衰退局面に入る。

それでも赤は、人々の関心を引き寄せるときは依然使われている。セールやイベント商品を知らせるときに赤字を書き込み、「赤ラベル」は、一般的な製品よりも品質が良い商品を意味する。赤い口紅は挑発的な誘惑を象徴する。重要な人物を迎えるとき、「レッドカーペット」が敷かれることも変わらない習慣といえる。

単純な色彩の概念規定や象徴を並べることを越えて、社会的文脈で意味を分析した。このおかげで、色彩をレンズとして事実上歴史を振り返る気がする。ただ、その歴史は、世界ではなく、欧州に限られたことは留意しなければならない。


金民 kimmin@donga.com