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オバマ氏とは異なるバイデン氏の「戦略的忍耐2.0」

オバマ氏とは異なるバイデン氏の「戦略的忍耐2.0」

Posted July. 29, 2020 09:03,   

Updated July. 29, 2020 09:03

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米国のオバマ前大統領は2017年1月の退任前、バイデン副大統領に贈り物を渡した。8年間共にしたバイデン氏に、大統領が世界平和などに貢献した米国人に与える最高の賞「自由勲章」を授与したのだ。「バイデン氏は私をより良い大統領にした」というオバマ氏特有の感性的な言葉を聞いてバイデン氏は涙まで流した。

しかしオバマ氏は、バイデン氏が昨年、大統領選への出馬の意思を明らかにすると引き止めた。トランプ氏(74)の再選を阻止するには、バイデン氏(78)より若い政治家が出て新しい風を起こすことを期待したからだ。オバマ氏は4月にバイデン氏の支持を公式に宣言した。

バイデン氏に最近、待望論が起こっている。大統領選まで100日も残されていないが、トランプ氏との支持率の差が2桁まで広がった。むろん、トランプ氏の隠れた支持層である「シャイ・トランプ」がいることを考えると、結果を速断するのはまだ早い。しかし、コロナ発の経済の悪材でトランプ氏の再選街道に警告灯が灯っているのは明らかだ。

私たちとしては、米大統領選を見る計算が複雑になった。何より2度の米朝首脳会談の後も実質的成果を上げることができなかった北朝鮮の非核化問題が、バイデン氏が政権に就いた場合、どのように変わるのかが関心事だ。

バイデン氏は1月、民主党の大統領選候補の討論会で、「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と条件なく会いはしない」とし、「トランプ氏が条件なく会って体制に正当性を与え、制裁を弱めた」と指摘した。昨年11月には、トランプ氏の北朝鮮戦略に対して、「この荒っぽい外交に対して何の戦略も忍耐心もない」と批判した。このような理由で、バイデン氏が当選する場合、オバマ氏が北朝鮮に対して展開した「戦略的忍耐」が再現されるという観測が支配的だ。ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「バイデン氏が当選すれば『オバマとさらに4年』ということ」と述べた。

しかし、北朝鮮が変化するまで制裁で圧力をかける「戦略的忍耐」カードをバイデン氏が再び取り出すとしても、オバマ氏の時と全く同じというわけではない。何より北朝鮮を締めつける制裁カードが一層強力になった。北朝鮮がハノイ会談で寧辺(ヨンビョン)核施設と交換で解除を求めた国連安保理の5つの核心制裁は、16年3月以降決議されたもので、実質的制裁効果は全てトランプ政府になって発揮された。これら制裁は、鉄鉱石や水産物など北朝鮮の主な輸出を元から封鎖し、北朝鮮の海外労働者を全員帰還させるなど、平壌(ピョンヤン)のドル流入を断つことに集中している。

 

また、バイデン氏は、制裁で北朝鮮の譲歩を勝ち取るために、中国との協力を強調する可能性が高い。すでにそのようなムードもある。バイデン氏の選挙陣営のホームページには、「同盟国はもとより中国との協力を通じて調整された北朝鮮に対するキャンペーンを展開する」と掲載されている。バイデン氏は1月には、「中国を通じて北朝鮮の非核化を迫る」と公言した。

核問題の解決の「鍵」は中国というバイデン氏の認識は比較的古くなっている。バイデン氏は、副大統領の時の13年12月、正恩氏の叔母の夫、張成沢(チャン・ソンテク)氏の失脚説が流れると、中国の習近平国家主席に会って、北朝鮮への圧力および協力を要請したことがある。バイデン氏は16年、ある番組のインタビューでは、「習氏に『北朝鮮の核問題をそのままにしては、日本が核武装することになる』、『日本は一夜にして核兵器を作ることができる』と話した」とも明らかにした。中国が北朝鮮の核問題に協力しなければ、北東アジアで日本を筆頭とする核競争が起こりかねないと中国に迫ったのだ。

問題は、バイデン氏のこのような徹底した制裁協力の布石には、韓国も例外ではないということだ。バイデン氏は昨年12月、米外交協会のインタビューで、「米国はアジア国家、中でも特に韓国との連帯を強化しなければならない」とし、韓国を名指しした。トランプ氏の「同盟無視」を批判して出た言葉だが、韓国との連帯強化でトップは対北朝鮮政策だろう。

このような状況で、文在寅(ムン・ジェイン)政府は最近、米朝交渉とは別に独自の南北協力の強化を推進している。これに対して、バイデン氏の対北朝鮮認識と距離があるのではないかという言葉が外交関係者の間で出ている。バイデン氏が当選する場合、核問題の解決策に関連した韓米間の意見の相違が大きくなりかねないという懸念の声に政府は耳を傾ける必要がある。


黃仁贊 hic@donga.com