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「セルマ橋」を渡って…黒人人権運動のゴッドファーザーが眠る

「セルマ橋」を渡って…黒人人権運動のゴッドファーザーが眠る

Posted July. 28, 2020 10:37,   

Updated July. 28, 2020 10:37

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17日(現地時間)、この世を去った米黒人人権運動のゴッドファーザ・ジョン・ルイス元米下院議員(80)が、55年前に警察から棍棒の洗礼を受けた橋を最後にもう一度訪れた。

ルイス元議員の遺体を載せた霊柩馬車は、家族や市民の哀悼の中で26日午前、アラバマ州セルマ市のエドモンド・ペタス橋をゆっくりと渡った。この橋は、1965年3月、人種差別に反対して平和行進をしていた黒人たちを警察が流血鎮圧した「血の日曜日」が起きた場所だ。

当時25歳だったルイス元議員は、この行進を主導する途中、警察から無慈悲な暴行を受けて頭蓋骨にひびが入る重傷を負った。この事件は、黒人が受ける差別と悲しみを全世界に知らせて、人権運動を拡散させる役割を果たした。黒人に参政権を与える案が米国で導入されたのも、この行進がきっかけとなったと評価される。

この歴史的な現場の雰囲気は、55年前と大差があった。当時は警察が、600人以上の黒人を残酷に殴ったことで、橋に赤い血痕が至るところについていたが、この日は、警察が敬礼をしながら敬意を表し、地面には赤いバラの花びらがまかれていた。市民は霊柩馬車が通るとき、「ありがとうございました」と叫んで、黒人の人権のために努力した故人の業績をたたえた。二頭の馬と黒い車体、赤褐色の車輪などは、マーティン・ルーサー・キング牧師の葬儀に使われた霊柩馬車のような形で設けられた。1986年に連邦下院議員として政界に本格入門したルイス元議員は、毎年この橋を訪れて「セルマ行進」を再現した。「血の日曜日」事件50周年だった2015年は、オバマ大統領(当時)と一緒に橋を歩いた。

ルイス元議員の死をきっかけに、エドモンド・ペタス橋の名前も、彼の名にちなんで変えるべきだという意見が出ている。今の橋の名前は、白人優越主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の幹部の名前から取ったことが知られている。ルイス議員の葬儀は30日、キング牧師が説教していたジョージア州アトランタの教会で行われる。それまでは、ワシントンの議事堂に彼の遺体が安置されて追悼行列が続く予定だ。


兪載東 jarrett@donga.com