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「より持つ者」を懲罰する税制、租税バランスを揺さぶる「税金政治」だ

「より持つ者」を懲罰する税制、租税バランスを揺さぶる「税金政治」だ

Posted July. 23, 2020 09:21,   

Updated July. 23, 2020 09:21

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政府は昨日、税制発展審議委員会を開き、来年度の税法改正案を確定した。所得税の最高税率を引き上げて富裕層の税金を増やし、小規模自営業者の税負担を減らす典型的な「金持ち増税、庶民減税」だ。圧倒的議席を持った与党「共に民主党」との協議まで終えており、ほとんどそのまま施行されるとみられる。

改正案の「驚くべきカード」は、所得税率引き上げと言える。10億ウォン超過区間を作って、既存の42%より3ポイント高い45%の税率を課す。1万6000人ほどが毎年、さらに9000億ウォンの税金を払うことになる。2017年に最高税率を40%から42%に引き上げた文在寅(ムン・ジェイン)政府は、「任期中2度の所得税引き上げ」という珍しい記録を立てることになった。

総合不動産税は、1住宅者の税率が0.1~0.3ポイント上がり、3住宅者と調整対象地域の2住宅者の最高税率は最高で6.0%まで上昇した。来年6月から家を売る多住宅者は、最高で75%の懲罰的譲渡所得税を納めなければならない。

一方、付加価値税簡易課税対象者の基準を年間売り上げ8000万ウォンに高め、約23万人の事業者に5000億ウォンの税金を減免することにした。簡易課税対象の拡大は、税源透明性拡大原則に反するので、長い間、税政当局が反対してきたものだが、与党圏の強い要求によって再編案に含まれた。

文在寅大統領が出て歯止めをかけた通りに、株式取引収益の譲渡所得税は2023年に先送りし、証券取引税の引き下げは、1年前倒しして2021年から開始することにした。与党圏の支持層に含まれかねない層の不満を買う要素は可能な限り排除し、「より持っている者」に対しては可能な限り最大値に税負担を増やすという狙いがありありとあらわれる再編案と言える。

勤労所得税の80%ほどを負担してきた上位10%の高所得層の負担は大きくならざるを得ない。まだ40%ほどの労働者は所得税を払っておらず、「広い税源、低税率」原則に逆行している。税率引き上げにより、地方所得税を含む韓国の実際所得税の最高税率は49.5%に増え、国民所得3万ドル、人口5000万人以上の経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で7位となった。米国、英国、ドイツ、イタリアをはるかに超えるものだ。

特に所得税率引き上げ案は、終盤に与党圏の要請を受けて盛り込んだという。不動産政策失敗などにより支持率が急落すると「持つ者vs持たざる者」の構図を強化する税制見直しを指示したものと見られる。過去もいくつかの政権が政治的理由で税政を見直したが、このように露骨なイデオロギーの狙いを込めて国の根幹である税政を変えたことはなかった。政治論理が租税制度のバランスを壊している。