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NASAで人工呼吸器を作ったワケは?

Posted June. 26, 2020 08:48,   

Updated June. 26, 2020 08:48

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米国のゲーム用コンピュータ機器製造企業・メインギアは、今年3月から同社で生産していた製品とは関係のない人工呼吸器を製造し始めた。会社創設者・ワラシ・サントスは、米国で新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい始めると、重症患者に絶対に必要だが、その量が不足していた人工呼吸器の開発を指示した。サントス創設者は今月20日、国際電気電子工学会(IEEE)が発行する工学雑誌「スペクトル」とのインタビューで、「フェイスブックの友人達が次々と家族や友人を失う姿を見て、大変なことだと思った」とし、「人工呼吸器を開発しようという意見が出たとき、『複雑な水冷式クーラーも作るのに、人工呼吸器を作れない理由があるのか』と考えて開発に乗り出した」と明らかにした。

新型コロナウイルスが手に負えないほど拡散したことで、病院はもとより、医療機器メーカーまでが戸惑う間に、非医療分野で活動していた全世界のエンジニアたちが静かに技術革命を率いている。米国と欧州の大小の研究機関や企業のエンジニアは、自分たちの特技を生かして、それぞれ個性あふれる人工呼吸器を短期間に世の中に出している。人類全体の当面の課題として浮上した感染症を克服する工学の連帯という評価が出るほどだ。

人工呼吸器は、呼吸が困難な患者の肺に酸素を入れて二酸化炭素を抜き出す医療機器だ。細菌やウイルスの汚染があってはならず、温度と湿度を適切に管理しなければならない。重症患者が装置を正しく着用しているかを感知するセンサーと、呼吸率を測定する装置も入る。このすべての過程を数日間も故障せずに実行する頑丈さも備えなければならない。

メインギアは、一般緊急用人工呼吸器の構造を利用するものの、感染性の強い新型コロナウイルスウイルスの特性を考慮して、患者の体に触れる部分を使い捨てに変えた新しい人工呼吸器を披露した。患者の呼吸をスマートフォンで管理するアプリも開発した。メインギアは、米食品医薬品局(FDA)の承認さえ受ければ、すぐに量産に入る準備を終えた。

自動車のブレーキペダルを製作するダン・ムーア社は、いわば「アンビューバッグ」と呼ばれる風船のようにできた換気補助装置を圧縮して空気を押し出すように酸素を供給する人工呼吸器を開発して、FDAから緊急使用の承認まで受けた。民間宇宙企業・ヴァージン・オービットも、宇宙船開発エンジニアを緊急投入して、3日後に人工呼吸器を開発して緊急使用承認を受けた。ヴァージン・オービットは、人工呼吸器に入るモータなどの基本部品一つ一つを新たに開発する代わりに、どこでも簡単に入手できる自動車用ワイパーの部品を活用する形で、「一気に」開発を終えた。

研究機関や大学も出た。米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所のエンジニアたちは、コーヒーを飲みながら新型コロナウイルスの心配をする時、人工呼吸器を開発することに意気投合した。彼らは、わずか5日ぶりに安くて性能の良い人工呼吸器の試作品を完成した。米ミネソタ州大学は、医療機器企業・ボストン・サイエンティフィックと、1つが1000ドル(約110万ウォン)に過ぎない安くて簡単な人工呼吸器を開発した。英国は、工学技術を確保した大企業の参加が目立った。欧州の航空宇宙企業・エアバスと自動車企業・ロールスロイスは3月、人工呼吸器製造企業・ペロンを支援して、人工呼吸器を大量生産して政府に供給した。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com