Go to contents

南北関係の最小限の善意まで踏みにじった北の南北事務所爆破蛮行

南北関係の最小限の善意まで踏みにじった北の南北事務所爆破蛮行

Posted June. 17, 2020 08:46,   

Updated June. 17, 2020 08:46

한국어

北朝鮮が、開城(ケソン)工業団地内の南北連絡事務所を爆破する軍事的挑発に出た。政府は16日、「北朝鮮が午後2時49分に開城共同連絡事務所庁舎を爆破した」と明らかにした。金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が13日に、「遠からず共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を見ることになる」と予告していた。対話で解決しようという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の提案を一蹴し、警告の水準を越えて物理的に挑発を実行する段階に入ったのだ。

連絡事務所は、板門店(パンムンジョム)宣言の合意により南北和解と協力の象徴と呼ばれ、2018年9月に開所した。韓国政府が、事務所の建設と改善・補修に178億ウォン、運営費まで含めて計338億ウォンを投じた。事務所の爆破は、南北首脳間の合意破棄だけでなく、開城工団内の韓国企業の資産と政府の財産権の侵害だ。テロ集団の蛮行と違いはない。一昨年の南北首脳会談の結果である9・19南北軍事合意を紙切れにしたのだ。

北朝鮮軍総参謀部は16日、非武装地域に兵士を投じてビラを散布すると警告した。北朝鮮軍を投入する地域は、開城工団と金剛山(クムガンサン)観光地域、非武装地帯(DMZ)の監視所(GP)と予想される。南北協力事業のために後方に移転した軍部隊が再配置されれば、南北間の軍事対立は避けられない。

北朝鮮が波状的な対南挑発に出たのは、国際社会の北朝鮮に対する制裁の中、新型コロナウイルス感染症で中国との取り引きまで断たれた状況で、自害水準の挑発で米国の関心を引こうという狙いのようだ。脱北者団体の体制批判ビラを問題視したが、これは言い訳にすぎない。核兵器は放棄せず米国との交渉で制裁緩和など補償を得たいが、米国は北朝鮮が先に誠意ある非核化の意思を見せなければならないと原則を固守する。トランプ氏は大統領選が迫り、北朝鮮との交渉に特に関心を示していない。

金正恩(キム・ジョンウン)政権は砂時計の砂が少しずつ消えるように経済が悪化する状況で、内部不満を外に向けなければ政権の安全も危うくなるという切迫感で、仲裁者を自任した韓国政府を崖っぷちに追いやっている。このような総体的難局の唯一の脱出口は非核化の履行だが、金正恩政権はそれに背を向けているので、挑発以外に頼る術がないのだ。今からでも正恩氏が非核化に対する誠意ある姿勢を見せるなら、韓国はもとより米国もいつでも手を差し伸べるだろう。武力挑発の終わりは厳しい孤立と自滅につながる体制危機だけであることを正恩氏は肝に銘じなければならない。