Go to contents

「100年の歴史がこんな形で終わるとは」

「100年の歴史がこんな形で終わるとは」

Posted May. 15, 2020 08:38,   

Updated May. 15, 2020 08:38

한국어

「地震などの自然災害にもびくともせずに耐えてきたのに…」

14日午前、東京台東区の水月ホテル。80年の歴史を誇る東京の代表老舗の一つである。このホテルの中には、134年前に建てられた日本の作家・森鴎外の旧宅もあり、歴史的な場所とされてきた。

このホテルは、31日に廃業する予定だ。新型コロナウイルス感染症で3月からゲストの予約が急減して、先月の売上高は前年同期に比べて90%まで急落した。管理費や従業員の給料などは耐えがたいレベルに達し、結局80年の歴史に幕を下ろすことになった。

同日、ホテルが廃業する前の最後の姿を見るために、常連客らが訪れた。彼らは、ホテルと古宅のあちこちをカメラに収めるために余念がなかった。ホテルの所有者である中村みさ子さんは、「80年の歴史を終えなければならないという事実で胸が痛いが、損を減らすために、できるだけ早く(廃業の)決定をしなければならなかった」と話した。

新型コロナウイルス事態が長引き、日本経済が大きな打撃を受けている。長い歴史を誇る老舗も、経営悪化に耐えることができず相次いで倒産している。日本の職人文化を象徴する老舗の廃業は、「自営業の倒産」、それ以上の意味として受け止められている。

老舗の廃業は、152年間営業を続けてきた東京銀座の有名弁当屋「弁松」が、先月20日廃業に踏み切ったことで本格化した。この店は、目の前にある「歌舞伎座」を訪れた観客と俳優たちが常連だった。しかし、劇場営業が中止となり、その直撃を受けた。3月の売上は、前年同期比70%減少した。5代目として店を率いていた猪飼信夫代表は、店を維持するために譲渡者を探したが、失敗した。

彼らは、現在の状況を「非現実的だ」と表現した。東京調布市で50年間レストランを経営してきた豊嶋正氏は、「毎月300万円(約3450万ウォン)の売上をあげたが、一夜にして収入が消えて廃業することになるとは夢にも思わなかった」と吐露した。

日本政府は、個人事業者に対して最大で100万円(約1150万ウォン)を支給する補償策を発表したが、東京浅草の揚げ物専門店「金泉」の関係者は、「はるかに足りず、現実性のない補償策だ」と声を高めた。この店は、創業117年だった10日に廃業した。

日本政府は13日、これまでは医療専門家中心だった政府諮問委員会に、遅れて経済専門家4人を追加すると発表した。同日、民間信用調査機関・東京商工リサーチは、新型コロナウイルスによって倒産した企業数が143社に上ると発表した。小規模な近所のお店まで合わせれば、その数ははるかに増えるだろう。今日も老舗の灯りは消え続けている。


東京=キム・ボムソク特派員 bsism@donga.com