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永遠ではない青春

Posted May. 14, 2020 08:05,   

Updated May. 14, 2020 08:05

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豪奢な衣装を身に着けた若い男性が私たちを見て笑っている。自信とユーモアあふれる表情、堂々としたポーズ、見下ろす視線、上に上げた帽子や鼻ひげなど若干傲慢で威張っているように見えるが、なぜか愛情が感じられる人物だ。いったいこの男性は誰なのか。

17世紀、オランダ芸術の巨匠、フランス・ハルスが描いた絵の題名は「笑う騎士」。生涯をハールレムで活動したハルスは、生気あふれる肖像画で名声を得た。ならば絵の中の男性はハールレムの騎士だろうか。いや違う。この題名はモデルの服装と容姿から19世紀後半につけられたものだ。本来は「男の肖像」と呼ばれ、軍人や官吏、あるいは裕福な商人の肖像という見方もあるが、正確な身分はわかっていない。また、男性は題名のように笑っているわけでもない。モナリザのように笑みを浮かべているだけだ。確かなことは、絵の中のモデルの年齢が26歳ということだ。これは、画家が絵の右上段に異例にもモデルの年齢と作品の制作年度を書いたことでわかる情報だ。豪奢な衣装と自身満々な姿から、彼は貴族や騎士ではなく資産家だったことは明らかだ。

 

絵で最も目につくのは、袖を飾った華やかな刺繍だ。燃え上がる松明、矢、ハートなど愛の楽しさと苦しみを象徴する模様がぎっしりと刺繍されている。おそらくこの絵は、恋人のための愛のプレゼントや求愛の目的で依頼を受けた可能性が高そうだ。とすると、この青年の温和な目つきと茶目っ気のある微笑みは、愛する恋人に向けられたものだろう。富と若さ、情熱と自信を生き生きと描いたこの肖像画は、依頼者を満足させたことだろう。しかし、人生の荒波をある程度経験した40代の画家は、人生が無常であるという教訓も与えようとしたようだ。名前の代わりに年齢だけ書き入れることで、富と名声は無常であり、熱い愛と輝かしい青春も永遠でないというメッセージを伝えているのだ。

美術評論家