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新薬や新素材開発の「夢の顕微鏡」、13万人の雇用創出効果

新薬や新素材開発の「夢の顕微鏡」、13万人の雇用創出効果

Posted May. 09, 2020 09:12,   

Updated May. 09, 2020 09:12

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忠清北道清州(チュンチョンブクド・チョンジュ)に建設することが8日決まった放射光加速器は、電子を光の速度で加速して物体を貫くX線の光を作る装置だ。既存の顕微鏡では見られないナノ(10億分の1)世界を観察できるので、「夢の顕微鏡」と呼ばれる。これまで放射光加速器を利用するためには、2、3ヶ月ずつ待たなければならなかった国内科学界と産業界が息抜きできると予想される。

2028年に完成予定の清州放射光加速器は、従来の放射光加速器に比べて100倍明るい光を出すように設計されて、刹那の時間に行われる細胞分子単位の細胞の変化をより綿密に観察することができる。特にウイルスタンパク質の結合構造を明らかにしたり、先端素材の物性変化をリアルタイムで見ることができるので、半導体・ディスプレイなどの電子事業、新薬・ワクチン開発などのバイオ産業、先端新素材開発などに役立つものと予想される。

国内では現在、1995年に世界で5番目に完成した浦項(ポハン)放射光加速器(円形)と2016年に完成した第4世代の線形放射光加速器の2台を運営している。しかし、基礎研究と産業界で放射光加速器の使用需要が増えており、2台だけでは不十分だという指摘が相次いだ。実際に放射光加速器を使うためには2、3ヶ月ずつ待たなければならず、研究課題に配分される時間も、実際のニーズ時間の半分程度である53%に過ぎなかった。昨年、日本の素材・部品・機器の輸出規制によって、関連する研究インフラの拡充のために、第3の放射光加速器建設の必要性が集中的に提起された。

放射光加速器の誘致は、地域経済に及ぼす効果も大きいと期待される。韓国基礎科学支援研究院の2018年の分析によると、放射光加速器の構築による生産誘発効果は6兆7000億ウォンに達し、13万7000人の雇用を創出できると予想される。

今回の最終選定評価で、清州市は評価項目全体で等しく高い評価がつけられたことが分かった。科学技術情報通信部・敷地選定評価委員会は、地震などの自然災害からの安全性、全国に散らばっている大学、研究機関、企業などのユーザーのアクセスの利便性などについて集中的に評価した。清州市は、高速道路とKTX、国際空港などの交通インフラがよく整っており、全国主要都市からのアクセスで高い点数がつけられた。

敷地選定評価委員会の委員長を務めた李明哲(イ・ミョンチョル)科学技術翰林院院長は、「いかなる政治的考慮なしに、科学的・客観的視点で国家競争力の向上に最適の立地を探そうと努力した」と明らかにした。

科学技術情報通信部は、新規放射光加速器の構築のための予備妥当性(予妥)の調査を5月中に申請する計画だ。予妥を経て滞りなく事業が推進されれば、2022年前に建設に着手して2028年には運用を開始する計画だ。

同日の最終選定結果の発表に、忠清北道と清州市は一斉に歓迎したが、脱落した自治体は点数を直ちに公開すべきだと、強く反発している。特に清州市と最後まで競合を繰り広げた全羅南道羅州市(チョンラナムド・ナジュシ)が脱落したことについて、金瑛錄(キム・ヨンロク)全羅南道知事は、「結果は納得できない。詳細な評価結果を公開して、再審査を行うことを強く要請する」という立場を発表した。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com