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突拍子もない国民発案制で改憲論くべる与党、本気で経済の「戦時状況」と思っているのか

突拍子もない国民発案制で改憲論くべる与党、本気で経済の「戦時状況」と思っているのか

Posted May. 01, 2020 08:17,   

Updated May. 01, 2020 08:17

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与党共に民主党の李仁栄(イ・インヨン)院内代表は昨日、「国民発案制を盛り込んだ改憲案を5月9日以前に処理しよう」と、野党未来統合党に提案した。2回目の追加補正予算の処理が終わると、すぐさま国民発案制を目指したワンポイント改憲案の処理を持ち出したのだ。現在、憲法改正は、大統領か国会在籍議員過半数で発議できる。国民発案制は、国会議員選挙権者100万人に同意があれば発議できるようにするものだ。

新型コロナウィルス感染拡大で混乱が続いた今年3月、議員148人がいきなり国民発案制を目指したワンポイント改憲案を発議した。当時は在籍議員が295人だったため、148議員で発議が成立した。民主党が主導したが、統合党からも金武星(キム・ムソン)議員や鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員ら22議員が賛同した。政府は、「改憲案が発議されれば、20日間公告する」と定めた規定に従い、3月10日の閣議で改憲案の公告を議決した。公告された改憲案は、60日以内に議決されなければ廃棄される。5月9日は、その期限だ。

国民発案制は一定数以上の国民が憲法改正案や法律案を法律案を直接提案できる制度で、直接民主主義の一環だ。しかし、国レベルで国民発案制の適切性は検証されていない。国民発案制は、先進国では米国とスイスの一部で実施されているだけで、当然のことだが州憲法のみに適用される。国会議員選挙権者100万人という数字は、民主労総(全国民主労働組合総連盟)と全教祖(全国教職員労働組合)が組織を動員すれば、いくらでも集められる規模で政治的に偏った改憲案が簡単に発議される恐れがある。何よりも国民大多数が国民発議制が突拍子もないと感じるくらい、表立った議論のプロセスも足りなかった。

第20代国会の議席分布上、国民発案制の改憲案が在籍議員3分の2の同意を得て国会を通過する可能性は薄い。にもかかわらず、李仁栄院内代表が第20代国会の残余案件として国民発案制を持ち出したのは、統合党の一部議員を揺さぶって民主党が圧倒的議席を獲得した第21代国会で改憲の火をくべるためのものとみられる。国が新型コロナによる経済危機の克服に総力で取り組んでも決して十分でないところで、与党の院内代表が改憲に関心を示してエネルギーを分散させている格好だ。

改憲を話し合う場合でも、優先順位が高いのは帝王的な大統領制を克服するための改憲であって、国民発案制の改憲ではない。国民発案制のワンポイント改憲に国力を使う余裕があるなら、むしろそのエネルギーを統治構造を変えるワンポイント改憲に使うべきだ。しかし、今は改憲議論自体に国力を注ぐ余裕はない。与党の改憲論に院内代表まで加わった。大統領は「経済の戦時状況」と言ったけど、与党には他国のことと考えているようだ。