ロシア陸上界を揺るがしている「ドーピング波紋」が中国に波及する兆しを見せている。今月初め、中国で出版された一冊の本がきっかけとなった。著者の元記者は、本の中で、世界選手権と五輪の金メダリストを多数育てた馬俊仁元代表監督(73)が1993年から選手たちにエリスロポエチンを強制的に投与したと暴露した。
同薬物は酸素を運ぶ血液中の赤血球の数を増加させ、持久力を高め効果がある物質でる禁止薬物となっている。著者は、「1995年に、ある選手から関連内容を打ち明けた手紙をもらったが、当時は内容があまりにもデリケート過ぎると判断した。今は中国人たちの認識も変ったので、これを公開した」と明らかにした。
本に登場する選手には、陸上女子1万メートル(29分31秒78)の世界記録保持者、王軍霞もいた。中国陸上の女子選手たちは2000年のシドニー五輪のドーピングテストで陽性反応が出て、禁止薬物を使用したことが発覚した。中国共産党の機関紙人民日報の姉妹紙「環球時報」は、専門家の話として、1990年代は小便だけでドーピングテストを実施したため、同薬物の投与が見つからなかったと報じた。
本が出版されると、国際陸上競技連盟(IAAF)は、直ちに「(本の著者が公開した)選手10人の署名入りの手紙が本物かどうかから調査を始める」と明らかにした。これに先立ち、IAAFは昨年11月、禁止薬物の服用が組織的に行われていたことが判明したロシア陸上界に対し、国際大会への出場を暫定禁止する決定を下した。
이승건기자 イ・スンゴン記者 why@donga.com