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[社説]「医学部や法学部の学生には、自分の奨学金を払うな」

[社説]「医学部や法学部の学生には、自分の奨学金を払うな」

Posted May. 12, 2012 08:53,   

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冠廷・李鍾煥(イ・ジョンファン)教育財団の設立者である三栄(サムヨン)化学の李鍾煥会長(89)が、ソウル大学中央図書館の新築に、計600億ウォンの寄付を約束した。氏が、大金を気前よく寄付したのは、韓国の大学が成長してこそ、海外留学に伴う国富流出を減らすことができるという持論によるものだ。60年以上も企業を経営して集めた資金の大半や、自宅まで奨学基金として出した氏は、「手ぶらで立ち去る(空手去)」という自分との約束を、繰り返し実践している。

冠廷・李鍾煥教育財団は、運営資産や奨学金の面では、国内最大規模だ。00年、李会長が個人資産10億ウォンで立ち上げた後、毎年、巨額を寄付し、拠出金が8000億ウォンに上っている。これまで、計4000人余りの学生らに対し、800億ウォンあまりの奨学金を与えた。李会長は飛行機のエコノミー席に乗るほど質素だが、「人材育成のための金は、全く惜しくない」と話している。氏は、不況や通貨危機を受け、企業収益が減った時も、奨学金の支給日は必ず守った。急激にウォン安ドル高が進んでも、留学生らに対しは、相変わらず、ドル建てで奨学金を送った。

氏は、小学生の選抜にも明確な哲学を持っている。法学部や医学部のような実利的学問よりは、基礎学問を中心に支援している。海外留学の奨学生を選抜するときは、自然理工系が80%、人文社会系が20%が原則となっている。科学英才らが、なりふり構わず医学部に、文科秀才らは法学部に詰め掛けている世の中で、出世や安定的職業を目標にしている学生らは、自費で勉強すればいいという哲学だ。夢や情熱を持って、国に貢献できる人を人材として育成するという意味だ。人材重視の経営を基に、頑丈な企業を育成しており、国の発展における人材の重要性は誰よりも体感できただろう。

生涯集めた350億ウォン台の不動産をカイスト(KAIST)に寄付し、20坪台のシルバータウンで暮らしているキム・ビョンホ・ソジョン農園代表夫婦は、「金をもうけるのは技術であり、使うのは芸術だ」と話している。李鍾煥会長は、教育財団のホームページに、「金をもうけるのに天使のように振舞えなかったが、金を使うことには天使のように振舞いたい」と書いてある。氏の一生に目を通してみれば、含みを持たせた言葉である。利益のためには千里の道も厭わず走っていく企業家らが、あれほど努力して稼いだ金の価値を、「天使の芸術」へと昇華させる姿を、頻繁に目にしたい。李会長の寄付は、喉の渇きを感じていた国民にとっては、一つの泉だった。