国連安全保障理事会は、核実験実施を表明した北朝鮮に対する制裁決議案の内容について大筋で合意した。米国、中国、ロシア、英国、フランスなど安保理の5常任理事国と、今月の安保理議長国を務める日本が12日、非公開会議を行い、争点事項をめぐる詰めの交渉を行い、事実上合意したためだ。
制裁決議案で最大の争点となったのは、国連憲章第7章を援用する範囲だった。国連憲章第7章を援用した場合、拘束力があるために、全ての国連加盟国が順守しなければならないだけでなく、軍事的制裁も含まれている。そのため、中国は国連憲章第7章の包括的な適用には反対してきた。半面、米国は北朝鮮の核実験は国際社会の平和や安保において重大な威嚇になることから、国連憲章第7章を包括的に適用しなければならないと主張してきた。
6ヵ国は議論の末、「国連憲章第7章に基づいて行動し、同章41条のもと制裁措置を講じる」という文言で調整することに合意した。7章第41条は非軍事的な制裁措置を、7章第42条は軍事的な制裁措置を含ませている。北朝鮮が発表した核実験の重大さを考慮し、国連憲章第7章を援用するものの、制裁措置に限っては軍事的制裁を除かせた41条だけを援用することにしたのだ。
軍事的な制裁措置は韓半島の緊張を高めることになる、とする中国の主張を米国と日本が受け入れた結果だった。しかし、安保理がそうした内容の対北朝鮮制裁決議案を最終的に採択すれば、それは91年に北朝鮮が国連に加盟して以来、国連憲章第7章に基づく初めての北朝鮮に対する制裁決議になるとの点から、その意味は小さくないと言うのが国連消息筋の見方だ。
北朝鮮が核実験の追加に踏み切れば、制裁の度合いを強めざるを得ないことから、国連憲章第7章の一部が援用されたという事実自体が、北朝鮮にとっては大きな圧迫になりうるという分析だ。北朝鮮に出入りする貨物船への臨検に関連した条項は、当初「必要だと見なされれば、すべての貨物に対し臨検を行う」という内容から「可能ならば貨物への臨検など協調的な措置を取る」へと、やや緩和された。
しかし、△ぜいたく品、そして戦車など指定軍需品と核、弾道ミサイル、大量破壊兵器計画に関連した物資の輸出禁止の条項、△北朝鮮の兵器またはミサイル計画に関連した個人や団体が、海外に所有したり管理中の金融資産の凍結条項、△北朝鮮の核開発計画の中断を求める条項——などは維持した。ここで注目される条項は、北朝鮮に対するぜいたく品の輸出禁止、という条項だ。
米国が強く要求して含まれることになった同条項が実際に施行された場合、ベンツなどといった高級乗用車や高級ウィスキーなどの北朝鮮への搬入がむずかしくなる見込みだ。そうなると、金正日(キム・ジョンイル)総書記が北朝鮮内の主要エリートの忠誠を確保するために活用してきた重要な手段が、根こそぎ揺さぶられることになるものとみられている。
ボルトン米国連大使は、「北朝鮮の一般の人々に必要とされる物品は許すものの、兵器開発や北朝鮮のエリートに渡される物品を制限するのが目標」と述べたりもした。これによって「ぜいたく品の輸出禁止条項」が、北朝鮮のエリート階層にとっては金融制裁に劣らない措置になりうる、との見方も出ている。
一方、同日、協議が急進展したことには、中国の胡錦濤国家主席の特使として米国入りした、副首相級の唐家セン国務委員とブッシュ米大統領の会談が決定的な影響を及ぼした模様だ。また、唐国務委員はロシア・モスクワを訪問し、北朝鮮の核問題を協議する格好を取った。6ヵ国が主要条項に合意することによって、安保理の対北朝鮮制裁決議案はニューヨーク時間で土曜日の14日、全会一致で採択される可能性が非常に高くなってきた。
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