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空気の質と認知能力

Posted April. 25, 2020 08:08,   

Updated April. 25, 2020 08:08

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最初の直立人類と呼ばれるホモ・エレクトスが、自由になった両手でツールを作ったことで、人類の脳の容量と認知能力は爆発的に増加した。SF映画を見れば、人類の未来は、より大きな脳と認知能力を土台にした科学技術に依存するように描かれることが多い。しかし、最近になって、悪い空気のために、人類の認知能力の向上グラフに赤信号が灯るという主張が出ている。

米コロラド大学とペンシルバニア大学の共同研究チームは、二酸化炭素がすべての人類の認知能力を50%下げるという衝撃的な研究結果を発表した。研究では、世界的に二酸化炭素の排出量を減らしたときとそうしなかったときの2つのシナリオを用意して、2100年度の認知能力を分析した。分析の結果、全世界が力を合わせて二酸化炭素の排出量を減らした最初のシナリオでは、2100年の学生の認知能力が25%低下することが分かった。しかし、二酸化炭素の排出量を減らさない2番目のシナリオでは、認知能力が50%まで低下した。二酸化炭素の増加が、特定地域や集団の問題ではなく、人類全体の認知能力を落としかねないと予想する。

もちろん悪い空気質による認知能力の低下は、現在を生きている私たちとも無縁ではない。豪州シドニー大学の研究チームは、2000年から3年間、英国で生まれた子供1万8000人を対象に大気汚染物質と子どもの知的障害との関連性を調査した。これによると、知的障害を患う子供の居住地は、知的障害のない子どもの居住地より大気の質が悪いことが多かった。

特に空気質が悪いと、非常に短時間に認知能力が低下しかねないという研究もある。英ロンドン・スクール・オブ・イングリッシュ・セフィロス研究チームが、学生2400人を対象に、大気汚染と学業成績との相関関係を分析した結果によると、空気質が認知能力に影響を与えることを明確に確認できる。研究チームは、試験を受ける学生を二つの部類に分けた後、片方は空気質が、世界保健機関(WHO)の基準(1立方メートルあたり50μg)の教室で試験を受けさせ、残りの一方は基準を超えた教室で試験を受けさせた。結果は、許容基準を超えた教室で試験を受けた学生が、そうでない学生に比べて3.4%低い点数が付けられた。

それなら、人類の認知能力の低下を防ぐためには、どうすべきか?専門家らは、最も緊急な短期課題として室内空気質の問題を解決しなければならないとみている。現代人は、ほとんどの時間を室内に滞在しているからだ。

リチャード・シャノシ・トゥルサ大学・室内空気プログラム責任研究員は、最善の解決策として換気を挙げた。彼は、室内の空気汚染が原因で認知能力の低下に拍車がかかり、特に子供の学業成績に悪影響を与える可能性があるが、これは十分な換気を通じて比較的簡単に解決できると主張した。

長期的には、化石燃料の使用削減、炭素中立プロジェクトなどを通じて根本的な二酸化炭素濃度の低減が推進されなければならない。これは、特定の国のプロジェクトではなく、汎地球的プロジェクトとして推進しなければ効果を上げることができない。まず、自分の家族の健康や知的能力のために、さらには地球の安寧を願う気持ちで、私たちは皆が空気質の管理に力を合わせなければならない。