Go to contents

北朝鮮への個別観光推進、同盟・制裁の亀裂も辞さないというのか

北朝鮮への個別観光推進、同盟・制裁の亀裂も辞さないというのか

Posted January. 18, 2020 08:58,   

Updated January. 18, 2020 08:58

한국어

統一部報道官は17日、政府の北朝鮮への個別観光推進に対する米国の憂慮と関連して、「対北朝鮮政策は大韓民国の主権に該当する」とし、「主導的な独自の南北協力」を図ることを明らかにした。米国のハリー・ハリス駐韓大使が16日、「誤解を避けるには米政府との協議がなされるべきだ」と発言したことに反論したのだ。米国を訪れた外交部韓半島平和交渉本部長も、「基本的に米国は私たちが主権国家として下す決定を尊重する立場だ」と述べた。

政府は新年に入って、個別観光の許可など南北協力事業を強行する構えだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「新年の辞」と新年会見を通じて独自の南北協力構想を明らかにして以降、米国など国際社会の北朝鮮に対する制裁違反の懸念も意に介さないという気流までうかがえる。盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長まで、「北朝鮮への個別訪問は国連の北朝鮮制裁に含まれず、いつでも履行できる」と出るのを見ると、避けられない論議も甘受するという焦燥感まで読める。

政府は、北朝鮮当局の招待状なくビザだけで第3国を通じて北朝鮮観光を許可することを検討するという。さらに、南北連絡事務所を活用して訪朝承認を迅速に出すことも議論される。こうなれば、韓国国民が中国の旅行会社を通じて北朝鮮にパック旅行できる。しかし、本来、北朝鮮が韓国国民にビザを渡すかは未知数だ。さらに、実効性ある安全対策がなく、金剛山(クムガンサン)観光客殺害事件のようなことが再発しないという保証もない。

制裁違反の可能性は越えなければならない大きな山だ。観光客が持っていくかも知れないドルの札束のような携帯品は、制裁違反の素地がある。昨年、韓国のサッカー代表チームの訪問の時も、ノートブックの搬入すら制裁免除の手続きが必要だった。ハリス氏もこのような憂慮を表明したのであり、そのような問題に目隠しして強行することはできない。ハリス氏の発言をめぐっては、与党では「朝鮮総督なのか」、「内政干渉ではないか」という批判が出ているが、それも過剰反応と言わざるを得ない。

南北対話が断絶し、米朝交渉まで止まった状態で、政府が独自の動きの幅を広げようとする努力を理解できないわけではない。しかし、政府がそうして見つけたのが、金正恩(キム・ジョンウン)政権が制裁の脱出口としてしがみつく観光事業だ。そのうえ、国際社会の憂慮と同盟の亀裂も甘受するというように「主権国家の決定」云々する。そのために、そのような政府の態度に、いつも韓国に向かって「親米屈従の卑屈な醜態」と非難した北朝鮮の影が想起されるのではないか。


イ・チョルヒ記者 klimt@donga.com