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戦闘で勝ち戦争では負けたドイツ

Posted December. 31, 2019 08:17,   

Updated December. 31, 2019 08:17

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ノルマンディー上陸作戦は大成功だったが、その翌日から連合軍には悪夢が待ち構えていた。ドイツ人は我に返って戦列を整備すると、連合軍の進撃は阻止され、苦境が始まった。ドイツ軍は兵力と装備は劣悪で精鋭部隊は少数だったが、その精鋭たちは、彼らの自身の言葉を借りれば、戦闘経験と戦闘力では世界最高の軍隊だった。結局、解決士としてジョージ・パットンが投入され、戦況が劇的に変わるが、その前までの約2ヶ月間、連合軍の記録には戸惑いと焦りが色濃く滲んでいる。それなら、ドイツ軍側の記録はどうだろうか?成功的な防衛戦を行う間、彼らは歓喜と誇りを感じたのだろうか?

そうではない。エルヴィン・ロンメルの有能な部下だったハンス・フォン・ルックの回顧録には、連合軍と同じように戸惑いと絶望が描写されている。ドイツ軍が力を尽くして連合軍を攻撃し、攻撃に成功して地上部隊を押し出すことに成功しても、すぐに膨大な砲弾や爆弾が彼らの頭上に降り注いだ。空は連合軍が完全に掌握していた。ドイツ戦車が強いといっても、空軍の目についた瞬間、大きな被害を被った。それよりももっと恐ろしいことは、海上に浮かんでいる軍艦から降り注ぐ艦砲の砲撃だった。地上のいかなる大砲よりも大きく、強力な艦砲の威力は本当に恐ろしく、艦砲の射程距離の中ではいくら勇敢な部隊でも、到底足を踏み入れたり、耐えることができなかったという。

成功裏に連合軍の攻勢を食い止めたにもかかわらず、ドイツ人が挫折した理由は、彼らの目的は連合軍を海に押し出すことだったからだ。防衛戦闘に勝利したとしても、戦闘の目的という観点から見れば意味がなかった。ドイツ軍は、艦砲と爆撃で防護されている連合軍の橋頭堡の中に入ることができないという事実は自明だったからだ。戦闘で勝っても戦争で負けるということはこのようなことだ。数々の勝利にもかかわらず、目標には一歩も近づけなかったからだ。葛藤が激しくなり、憎悪だけが残れば、戦いのための戦いが増える。そうなれば、社会全体は進むべき道からさらに遠ざかり、より深く沈むことになる。

歴史学者