Go to contents

64カ国のアジア人のゲノムがベールを脱いだ

64カ国のアジア人のゲノムがベールを脱いだ

Posted December. 09, 2019 07:36,   

Updated December. 09, 2019 07:36

한국어

生命体は、数々の細胞で構成されている。細胞核の染色体には遺伝情報を貯蔵するDNAが入っている。人間の遺伝情報を盛り込んだDNAは、約30億個の塩基で構成されている。これらの塩基の配列順序に従って、生命活動に必要なタンパク質が作られる。遺伝体(ゲノム)は、DNAに含まれている30億個の塩基の配列順(塩基配列)全体を明らかにしたものだ。

人ごとに遺伝体は少しずつ差があるが、科学者たちは、特定の人種や国、民族を対象に、標準遺伝体地図を構築している。標準遺伝体地図を作成すれば、特定病気の患者の遺伝体と比較して塩基配列がどのように違うのかを把握できる。塩基配列が変わって変異が生じたタンパク質を解明して、病気の原因や薬物効能などを綿密に分析する。「ヒトゲノムプロジェクト(HGP)」で、2003年に人間の標準ゲノムマップを作成した理由だ。個人カスタム治療法を示すいわゆる「精密医学」も、遺伝体分析がその根底にある。

しかし、最初に作られた人間の標準ゲノムマップは、主に白人の遺伝体を分析したもので、人種別の特徴を盛り込まなかった。全世界の人口77億人のうち58%の45億人に達するアジア人に適用するのは難しい。人種別、民族別に現れる遺伝体情報が異なるからだ。

精密医療バイオテクノロジー企業・マクロジェンと盆唐(プンダン)ソウル大学病院の共同研究チームは、国際コンソーシアム「ゲノムアジア100Kイニシアチブ」を通じて行ったアジア人の遺伝体分析結果を、国際学術誌ネイチャーの4日(現地時間)付けに発表した。アジア人に発生する病気の原因を解明することに大きく貢献すると期待される。

ゲノムアジア100Kイニシアチブは、非営利国際コンソーシアムで、2016年、アジア人10万人の遺伝体情報を分析する大規模な研究プロジェクトとして発足した。マクロジェンと盆唐ソウル大学病院、シンガポール南洋理工大学、インドの遺伝体分析企業メドゲノム、米ロシュグループの子会社ジェネンテックなどで構成された。

今回の研究は、アジアを含む計64カ国、219種族(アジア142種族)のサンプルを対象に行われた。これまで公開されたアジア人の遺伝体データの中で最も多くの地域と種族を含んでいる。国別にみれば、韓国人152人をはじめ、インドで598人、マレーシア=156人、インドネシア=68人、フィリピン-=52人、日本=35人、ロシア=32人の計1739人の遺伝体が分析された。

分析の結果、アジアに居住する約142種族は、従来の研究で明らかになったものよりはるかに多様な遺伝的特性があることが分かった。研究チームはこれをもとに、アジア人の間でも、民族ごとに主要薬物に対する反応が異なることを解明した。例えば、心血管疾患患者に主に処方される抗凝固剤「ワルファリン」は、特定遺伝変化の患者にアレルギーなどの薬物副作用を引き起こす可能性がある。

今回の研究結果、ワルファリンの場合、韓国人、中国人、日本人、モンゴル人のような北アジアの祖先を持つ人々が鋭敏に反応する可能性が大きいと予測された。


キム・ミンス記者 reborn@donga.com