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世界ビリの運動量、これが未来の競争力だ

世界ビリの運動量、これが未来の競争力だ

Posted November. 29, 2019 07:32,   

Updated November. 29, 2019 14:51

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暮らしの水準と運動量は比例する。裕福な国の子どもは運動をよくし、貧しい国の子どもは運動は後まわしだ。むろん例外のない法則はない。地球上でこの流れに外れた国がある。残念なことに大韓民国だ。

世界保健機関(WHO)が世界146ヵ国の生徒(11~17歳)の身体活動を調査して発表した報告書の内容は深刻だった。韓国は運動量不足の生徒の割合が94%で最下位だった。カンボジアやスーダンも韓国より上だ。特に、韓国の女子生徒は97.2%とほぼ全員が身体活動が不十分だった。WHOは、「韓国は国民所得は高いが、青少年の運動量は深刻に不足した特異なケース」と言及した。

WHOの意味深長な指摘にもかかわらず、韓国社会は予想通りこのニュースに関心を向けなかった。理由はむろん入試(勉強)のためだ。生徒に対しては、勉強にだけ焦点を合わせているため、勉強の邪魔になる運動は犠牲にしても仕方がないというムードだ。

しかし、健康問題はさておき、勉強のために運動は減らさなければならないという考えは正しいのだろうか。質問を1つしてみよう。韓国の生徒の運動量が減ったなら、学業成績はどうだろうか。OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の成績はむしろ下がった。PISAの順位を見ると、過去には読解、数学、科学部門で1~2位を争ったが、最近では読解、科学が8位まで落ちた。

もう1つ見よう。先進国も教育に死活をかけるのは同じだが、勉強に忙しい生徒たちになぜ運動を強要するのか。米国はほとんど多くの生徒が、日本は70%ほどがスポーツ活動をする。

様々な観点で診断しなければならない問題だが、「脳」をキーワードにすると、もっと鮮明に見えてくる。植物には脳がないが動物にはある。脳があってこそ動くことができるからだ。ところでその脳は運動を通じて発達する。ハーバード大学医学部などの研究結果を見ると、運動が生物学的な変化を触発して脳細胞を旺盛にする。また、脳細胞の生成も促進する。そのため運動した後に勉強すると学習能力が向上する。米ネーパービル中央高校など学校(公立)の生徒が1時限目の前に1.6キロのランニングを初めたところ数学・科学で世界の上位圏になったのがその証拠だ。勉強ができるためには、むしろ運動をもっとしなければならない。

運動は脳の情緒的機能にも関与する。脳がストレスを受けて苦しむと、癒して活力を与える。運動はどんなうつ病の薬よりも治療効果が大きいというのが研究の結果だ。性能の良い脳が最適な状態で駆動できるようにする。また、運動は他人との交流を通じて社会性も育てる。4次産業革命時代、ますます求められる賢い頭脳、情緒の安定、共感能力などだ。檀国(タングク)大学のチョン・ヨンベ教授は、「それゆえスポーツは重要な『教育』であり、私たちの未来の競争力だ」と断言する。

勉強と運動を別に考える社会的な認識も問題だが、教育部のマインドも改善が急がれる。教育部の組織には49の課があるが、学校の体育を管理する課はない。エリート選手を減らしてクラブ活動を奨励するというが足踏み状態だ。最大の問題は施設不足だが、意思不足がさらに大きな問題のようだ。

ホヤは子どもの時には脳があるが、後に脳がなくなる。海を泳ぎ、岩について定着した後には動かないためだ。人間の脳は他の動物と違って、高度に発達し、大変難しい判断ができ、想像も可能だ。しかし、高度化の水準に関係なく、依然として運動で刺激を受けてこそ新鮮さを維持できる。ある脳科学者は助言する。「子どもが数学が難しいと言えば、外に行って運動するように言うことだ」


touch@donga.com