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トルコ地上軍がシリア進入、国際社会「クルド人への殺傷はいけない」

トルコ地上軍がシリア進入、国際社会「クルド人への殺傷はいけない」

Posted October. 11, 2019 09:29,   

Updated October. 11, 2019 09:29

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トルコが9日、クルド人の拠点であるシリア北部で本格的な地上戦を始めた。同日だけで民間人8人を含め少なくとも15人が死亡し、数十人が負傷した。2011年から8年間続くシリア内戦がトルコとクルド人の全面戦争という新たな局面を迎えた。

●4方向でシリア北部進入

トルコ国防省は同日、ツイッターを通じて、「トルコ軍と親トルコのシリア反政府軍、シリア国家軍(SNA)がユーフラテス川東側で地上戦を始めた。空襲と砲撃を通じて181個のターゲットを攻撃した」と明らかにした。ロイターなどはトルコ軍が4つに分かれてシリアに進入したと伝えた。地上軍投入に先立ち、空軍は国境要衝地のタル・ラブヤド、ラスアライン、カーミシュリー、アインイサ、コバニなどに集中砲撃を加えたと付け加えた。今回の作戦に投入された正確な軍の規模はまだ明らかなっていない。

トルコ側は、クルド人への攻撃は地域の安定および平和のためとし、「平和の泉」という似合わない作戦名まで付けた。国防省は、「今回の作戦は、国連憲章51条で規定した自衛権、テロ関連戦闘に関する国連安全保障理事会(安保理)の決議案の枠組みでなされている。シリアの領土保全を尊重すること」とし、「攻撃目標はテロリストとその兵器、車両、装備などであり、民間人、歴史的建物、社会インフラ施設が被害を受けないよう注意する」とも主張した。

トルコの主張と違って、人権団体シリア人権観測所は「攻撃による死傷者が日々増えている」と懸念を示した。トルコ-シリア国境地帯には約50万人の民間人が暮らしている。同日の攻撃でクルド人が主軸のシリア民主軍(SDF)が管理してきた過激派組織「イスラム国」(IS)構成員の収容施設も大きな被害を受けたという。IS構成員が大挙脱出する可能性もあり、ただでさえ不安な治安状況がさらに悪化すると懸念されている。

●国際社会の懸念、依然として攻勢持続

10日、国連安保理は今回の事態を受けて、緊急会議を開催することを決めた。アントニオ・グテーレス国連事務総長も、「すべての軍事作戦は国連憲章と国際の人道主義の法律を尊重しなければならない」と憂慮を示した。北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長も、「トルコが自制すると信じる。多くの人命被害を引き起こす行動は止めよ」とし、「11日、トルコのエルドアン大統領と議論する」と明らかにした。英国、ドイツ、フランス、エジプトなども一斉に攻撃中止を求めた。オランダ政府は、自国のトルコ大使を招致した。ロシア、イランなどもトルコの中東への影響力拡大を懸念している。

トルコは、国際社会の反発にもかかわらず、軍事作戦を強化する考えを明確にした。トルコはシリアのクルド人が独立を推進すれば、人口8200万人の約2割を占める自国のクルド人まで独立を推進することを警戒している。クルド労働者党(PKK)は約40年前から分離独立を主張し、トルコ政府の弾圧を受けてきた。トルコ政府は、「シリア北部のクルド人の武装組織『人民防衛隊』(YPG)はPPKの下部組織」と主張している。

また、長期政権の疲労感と経済難で支持率が以前ほどではないエルドアン大統領が支持率上昇のためにも強硬態度を簡単には止めないという観測も流れている。一部では、トルコが360万人にのぼる自国内のシリア難民を受け入れるために戦争を行ったという陰謀説も提起している。クルド人を追い出し、彼らの居住地に一種の難民収容所を作って、シリア難民を受け入れるという思惑だ。

トランプ米大統領は同日、3日前と同じように、「クルド人に被害が生じれば、トルコ経済を壊滅させる」と主張した。しかし、シリア駐留米軍撤収中止のような実質的な措置は出さず、「形式的」という批判が起こっている。


李世亨 turtle@donga.com · 朴湧 parky@donga.com