Go to contents

一度も行ったことのない「道上のリーダーたち」

一度も行ったことのない「道上のリーダーたち」

Posted September. 21, 2019 09:07,   

Updated September. 21, 2019 09:07

한국어

最近、米国内外で「2008年の世界金融危機以降初めて」のような修飾語のついた異例の大型事件が相次いだ。14日、サウジアラビアの中核石油施設へのドローン攻撃から二日後の16日、国際原油価格は、2008年12月以降最も高い上昇率を示した。数十台の無人偵察機の攻撃で、世界の原油生産量の約5%が一朝にして蒸発するだろうと、誰が予想しただろうか。さらに、米中貿易戦争、香港の反中デモ、英国の欧州連合(EU)離脱など、あちこちが地雷畑である。

かつて「世界の警察」の役割を果たしながら、各国の対立に介入していた米国の大統領が、「私たちは世界最大のエネルギー生産国である。中東産原油とガスなど要らない」と主張しながら、軍事介入をためらう姿も同じだ。コストの問題を理由に、中東介入と海外駐留米軍を嫌うドナルド・トランプ米大統領は、「私たちは中東のための警察になった。とんでもないことだ」という露骨的な不満も表わした。「米国のない世界」の見知らぬ影がちらつき始めた。

米国本土でも事情は似ている。米最大手の自動車メーカー・ゼネラル・モーターズ(GM)は、2007年以来12年ぶりにストライキに突入した。金融危機克服後、上昇の勢いに乗った世界の自動車市場が躓いたことで、労使対立が再現された。GM労組は、市場鈍化と電気自動車などの技術変化に生き残るために、米国内の4つの工場閉鎖を予告した。

GMのストライキは、世界の製造業の減速の現状をよく示している。自動車産業の動向を示す8月の世界の自動車産業の購入管理者指数(PMI)は、2009年以来、10年ぶりに最も低かった。国際金融センターは、「世界製造業の景気が、過去の主要な危機局面に匹敵するレベルに萎縮している」と指摘した。それさえも、支えの役割をしている世界のサービス業の景気さえ萎縮に戻り、景気後退を巡る議論が高まったことで、金融市場の不安感がさらに高まりかねないという警告だ。

7月に10年7ヶ月ぶりに基準金利の引き下げに踏み切った米中央銀行連邦準備制度(FRB)は、18日連続で金利引き下げに踏み切った。景気低迷を防ぐための一種の第二の「予防接種」だ。トランプ大統領はこれに満足せず、「マイナス金利」を取り上げながら、FRBに追加金利引き下げを激しく圧迫している。米国のマイナス金利は誰も行ったことのない道である。FRBの内外からは、景気低迷を先制的に防ぐために基準金利の水準を下げ過ぎれば、実際に低迷に見舞われた時、危機を鎮火できる中央銀行の「実弾」が不足するという懸念が出ている。11年前の金融危機当時、FRBは5%台だった金利をゼロ(0)レベルにまで引き下げた。金融政策の余力が十分だったという意味である。現在の基準金利は1.75〜2.00%水準で、金融危機時ほどの引き下げの余力がない。

あちこちで点滅する危機シグナルが、必ずしも世界景気後退と地政学的危機につながるわけではない。それにしても、各国の指導者たちが経済、安全保障、地政学的危機が絡まった「複合危機」の影の中で、一度も行ったことのない道を乗り越えていかなければならないことは明らかである。

韓国は、米国への安保依存度が高く、中東産原油の輸入も、中国、日本に次いで多い。自由貿易で成長した小規模開放経済構造を持っているので、他の国が「風邪」にかかれば「肺炎」にかかる可能性も高い。危機の要因を綿密に分析して、迅速に対応できる国家危機管理システムがどの国よりもしっかりしなければならない。

一つの体のように動きながら対策の準備に忙しい中、英語で口論し、見苦しいた争いを繰り広げる国内外交安保リーダーを、果たして信頼して従うことができるだろうか。国民を一度も行ったことのない道に案内するリーダーから、心をしっかり引き締めなければならない。


朴湧 parky@donga.com