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日本はどうやってレアアース紛争で勝利したのか

日本はどうやってレアアース紛争で勝利したのか

Posted July. 27, 2019 09:21,   

Updated July. 27, 2019 09:21

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2005年、小泉純一郎日本首相の靖国神社参拝に反発して、中国で日本製品の不買運動が起こった。日本でも反中デモが行われ、日本にある中国大使館をはじめとする様々な機関に火炎瓶が投げかけられ、銃器が配達される事件が相次いで起きた。

2010年9月7日、尖閣諸島で中国人船長が日本海上警察に逮捕される事件があったし、中国からのレアアース輸出が分からない理由で遅れた。中国人船長逮捕への報復として受け止めた日本は、世界貿易機関(WTO)の協定違反だと抗議し、中国政府は環境保護のためのことなので違反ではないと応酬した。今年7月、韓国への半導体材料の輸出規制について、日本政府が安全保障のためであるので、WTO協定違反ではないと応酬していることとよく似ている。

2010年は中国がG3(主要3カ国)からG2に跳躍した年だった。2018年、日本経済は完全雇用を達成した。大胆な挑発の背景に自国経済への自信があることも似ている点だ。レアアースの一部の鉱物は、日本経済の支えである先端自動車生産に不可欠な素材だ。2019年、日本の輸出規制が韓国経済の基幹である半導体産業をターゲットにするのと同じ状況だ。

2010年のレアアースの輸出規制は、日本が被りかねない被害の程度において、2005年の日本製品不買運動とはそのレベルが違った。しかし、日本人たちは、2005年と違って、恐ろしいほど冷静に将来のために動いた。右翼を中心に各地で反中デモが行われたが、暴力沙汰はなかった。中国大使館に向けた脅迫も一切報道されたことがない。外部の敵がより強くなり、脅威がさらに巨大になったので、その緊張感もそれだけ大きかったようだ。

日本は、短期的にはレアアースの供給確保に最大の努力を傾けた。双日商事は2010年11月、日本政府機構であるJOGMECと共同で2億5000万ドルを豪州のレアアースメーカー・ライナスに出資した。JOGMECの出資金は、経済産業省が発表した「レアアース総合対策」の予算1000億円の一部だった。レアアースを巡る紛争があったのが9月、経済産業省の対策発表が10月、ライナスへの出資が11月に行われた。

2012年4月、日本の大企業・日立がレアアースを使用しない産業用モーターを開発した。2015年の経済産業省の報告書によると、レアアースの使用量削減のための技術開発は、中小企業を含む多数の企業で商業的進展があった。技術開発がこのように迅速に行われることができたのは、実はすでに2007年から関連分野への投資があったからだ。その一つが、文部科学省が2007年に着手した「元素戦略プロジェクト」だ。20以上の大学や企業が参加したこのプロジェクトで、代替材料の研究にかなりの成果があったし、2010年以来、レアアースの代替材料の開発にその研究成果が応用された。2012年3月には、米国、欧州連合(EU)と一緒に、中国のレアアース輸出規制をWTOに提訴し、2014年8月に中国の規制はWTO協定違反という判決を引き出した。

レアアースの紛争は結局、日本の勝利に終わった。中国へのレアアースの依存度は2009年の86%から2015年は55%まで低下した。一方、中国のレアアース業界は2014年に赤字を出した。レアアースの価格が急落したためだ。 WTOで敗訴した中国政府は、2015年1月、レアアース輸出規制を全面撤廃した。

日本企業は、2010年の衝撃を忘れず、今もレアアース需要を減らすための技術開発を止めずにいる。2018年2月、トヨタ自動車はレアアースの使用量を半分に減らした磁石の開発に成功した。そして、政府の支援政策は、政権に関係なく一貫して推進される。元素戦略プロジェクトは、自民党政権で開始され、レアアース総合対策は民主党政権で立てた。民主党政権で始まったレアアース関連技術開発プロジェクトの事後評価書は、2015年に自民党政権下で作成され、概ね前向きな評価を下した。

韓国は大統領が変わるたびに、主要政策が原点から新たにスタートする。以前の政府の政策に関して公正かつ客観的な事後評価書は存在しない。2019年、韓国でも基礎素材産業の育成に投資しなければならないという声が高い。2022年に新大統領が就任した後は、どれほど多くの人が2019年の騒ぎを覚えているだろうか?