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「自らを低くして周りの風景を生かす」 高さ2.1mのソウル都市建築展示館の美学

「自らを低くして周りの風景を生かす」 高さ2.1mのソウル都市建築展示館の美学

Posted July. 18, 2019 09:36,   

Updated July. 18, 2019 09:40

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都市とは、拡張を続け、過密化する。しかし、逆に空けて、低くすることで、存在感を表わす建物がある。

今年4月。ソウル世宗大路(セジョンデロ)の真ん中にある聖公会大聖堂の前を遮っていた「工事中」の仕切りが取り外された時、心は晴れ、ひとりでに感嘆の言葉が出てきた。まるで、イタリアのフィレンツェで見ることができそうなロマネスク様式のオレンジ色の瓦と韓国的な瓦屋根が成す美しい聖公会聖堂の姿が現れた。数十年間、前を通っても聖公会聖堂の正面がこのように美しかったとは分からなかったためだ。

ここにできたソウル都市建築展示館は、1階建で高さが平均2.11メートルしかない。徳寿宮(トクスグン)の石垣道の高さと平行を成す建物の屋根は、聖公会聖堂の前庭を結ぶ小さな広場になる。高さはそれほど高くないが、徳寿宮と市庁前のソウル広場、韓国プレスセンター、東亜(トンア)日報など世宗大路の風景を一目で眺めることができる異彩を放つ都市展望台となる。まだ、聖公会聖堂の駐車場地下化の問題が解決されず、完全に連結された広場ではない点は残念だ。この場所は、高宗(コジョン)が1897年、圜丘壇を設置し、祭祀を行い、大韓帝国を宣言した小公路(ソゴンノ)と徳寿宮の石垣道、西学堂の道が出会う三角形の広場。高宗の葬儀の行列が通過し、3・1運動と4・19革命、6・10抗争の中心地になった歴史的な場所だ。ここには、日本による植民地支配期の1937年、朝鮮総督府逓信局の庁舎が建てられた。2015年まで5階建ての国税庁南大門(ナムデムン)別館のために視野が遮られていた。

 

ソウル市が、15年にこの建物の設計を公募した当時、20ヵ国80チームが応募したという。ほとんどが一部を広場にし、一部に2~3階の建物を建てる形式だった。最終的に、平均の建物の高さを低くし、展示場を地面の中に隠した作品が当選した。設計者のチョ・ギョンチャン・ターミナル7アーキテクツ代表は、「4大門のうちで最も低い建物」とし、「徳寿宮の石垣道と聖公会聖堂、ソウル市議会、建築家のキム・ジュンオプ氏が建てたセシル劇場など歴史ある建築物を尊重し、都市の歴史的風景を表わすために建物を最大限低くした」と話した。

1階の屋根がとても低く、地下に何の展示空間があるのかと実際にこの展示場に入る人は多くない。しかし、地下に行けば、意外に広い空間が広がる。地下3階の「ピウムホール」は、世宗大路の空気と太陽の光が流れ込む野外広場だ。この建物の正面入口は、地下3階の広場に設けられ、地下1・2階には展示場と資料室、講演会場、テラスなどがある。

00年の国際展覧会「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の建築部門のテーマは、「美学より倫理を」(Less Aesthetics、More Ethics)だった。存在感をアピールしようと競う建築物の中で、自らを低くすることで、都市全体の風景を生かす素朴な建築についての話だ。


田承勳 raphy@donga.com