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君の物語を聞かせる時間

Posted June. 17, 2019 08:39,   

Updated June. 17, 2019 08:39

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「もう自分の孤独から逃れる時間になったの。他人の顔を読む時間になった」(チョン・へユン、「ベッドと本」)

夜になるほど弱くなる人がいる。日中犯した間違いを考えるため、誰かを繰り返して憎むため、明日の自分を心配するために力を使い果たした人たち。懐かしい心と遅れた気持ちに慣れた人たち。そういう人ほど、この本を枕元に置いておきたい。寂しかった夜に私が自分にそうしたように。ベッドの心地よい香りと手触りに囲まれて、この本を無造作に開いたりした。どこを開いても、毎回出会った。私のものよりもっと聞きたい声を。だから、このような要求の気持ちで読んでいった。 「もっと言って。今日の私は良くないうえ、弱いから、私の言葉ではなく、あなたの話を聞きたい。私が眠るまで、もっと話を聞かせて」。布団にすっぽり埋もれて目で本を読む。本は語る。

「失敗に終わった愛の物語は、どんなに長くても終わりまで聞くことになる。なぜなら、悲しみに関する限り、すべてのことが繋がっているから。…一人に残されたガリップは、どのように孤独から脱して、どのように他人の物語の中に入ったのだろう?」

この本は、数多い他の本の物語の中に入る本だ。そうすることで、固有の自分になる本だ。自分の悲しみに埋もれる自意識の過剰の夜明けではなく、他の声を迎える深くて大きな夜明けになる。自分を過度にいたわることも、過度にあわれむこともない心の状態だ。本から聞かせてもらった言葉を、自分にもう一度聞かせる。「もう自分の孤独から逃れる時間になったの。他人の顔を読む時間になった」。私はこれ以上弱くない。自分の目で見る自分の姿でなくても、どれだけ見て、聴けることが無尽蔵にあることを思い出したからだ。その記憶の能力で孤独から抜け出し、他人の顔を読んで眠りに入る。